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「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」

BRITAIN’S NEW SPY CHIEF

2026年2月20日(金)18時51分
エドワード・ルーカス (ジャーナリスト)

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映画やドラマにも度々登場するロンドンのMI6本部 DAN KITWOOD/GETTY IMAGES

だがメトレウェリが女性ゆえに長官に選ばれたというのは間違いだろう。まず、メトレウェリは諜報作戦に実際に関わってキャリアを積み上げ、最終的には科学技術を扱う部署の責任者(007映画でいうところの「Q」)を務めた人物だ。

もっともこの部署が得意とするのは自動車に機関銃を搭載することではなく、機器の小型化や隠蔽加工だ。メトレウェリが大きなブローチをよく身に着けるのは、装身具をスパイグッズとして活用してきた長い歴史への思いからでは、と言う人もいる。

それ以外の個人情報はあまり知られていない。既婚者で家族持ちで、祖父は第2次大戦後に東欧から移り住んだ人物とされる。

著名な医師だった父親の仕事の関係で子供時代を香港で過ごし、イギリス屈指の名門校であるウェストミンスター校を経て、ケンブリッジ大学に進んだ。大学ではボート部に所属。国内防諜を担当するMI5(英国情報部5部)に出向したことがある以外に、他の組織で働いた経験はない。

冒険的な時代への回帰狙う?

メトレウェリはMI6に変化を起こそうとしているようだ。それも冒険的なスパイ活動が行われていた時代への回帰のような形でだ。

長官就任後初のスピーチで、彼女はテロにも中国にもアメリカにもほとんど言及しなかった。その代わり、ロシアが混乱を輸出していると語った。

具体的には放火や破壊工作、重要インフラへのサイバー攻撃、ドローン(無人機)による空港や軍事基地への接近、イギリス近海での攻撃的な活動、社会の内部分裂を創出・利用するための情報工作を行っていると指摘した。

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