「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入でベネズエラは泥沼化するのか
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同国軍にあるのはロシア製の防空システムで、長距離の地対空ミサイルシステムS300や短中距離のパーンツィリS1、BUK(ブーク)-M2E、肩に担ぐ携帯式のイグラSくらいだ。ロシア製のスホーイSu30戦闘機や大昔にアメリカから供与されたF16戦闘機が出てきても、今の米軍機にはかなわない。
アメリカに亡命したベネズエラの退役軍人ホセ・コリーナは、マドゥロが米軍の介入で権力から追放された場合、国の安定に向けた努力を複雑化する要因は民兵などの準軍事組織だと指摘する。
新政権に抵抗するマドゥロ派と共闘する可能性がある勢力とみられるのは、民族解放軍(ELN)やコロンビア革命軍(FARC)といったコロンビアの極左ゲリラで、いずれもベネズエラ国内に拠点を確立している。
「アメリカから攻撃された場合、ベネズエラ軍はマドゥロを守ろうとしないし、精鋭の部隊も国外へ脱出するだろう」とコリーナは予測する。
「そして国内では反マドゥロ派の軍人が支配権を握り、マドゥロ側につくのが必至のELNやFARCなど、国内に拠点を置く外国組織の無力化に取り組むことになる」。ただし紛争が長期化すれば「さらに多くのベネズエラ国民が紛争を嫌って国外へ脱出し、地域の不安定化が続くことになる」とコリーナはみる。
極左武装勢力との戦い
「ベネズエラの国土面積はイラクの2倍だ」と指摘するのは国際危機グループのガンソン。





