「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入でベネズエラは泥沼化するのか

Risky Business

2025年12月24日(水)19時30分
トム・オコナー (本誌米国版外交担当副編集長)

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ベネズエラ沖で「麻薬運搬船」への攻撃を米軍に命じたヘグセス国防長官(25年12月2日) CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES

アメリカはカリブ海にジェラルド・フォード空母打撃群を含む強力な部隊を配備し、パナマとプエルトリコの軍事拠点の使用も再開した。この地域内での軍事力を一段と増強したことになる。

CNNとロイターの報道によると、複数の米当局者は匿名で、今すぐにでもベネズエラ国内で破壊工作を含む作戦を実行できる段階にあると語った。

トランプ政権は既に、ベネズエラを拠点とする麻薬密売組織「太陽のカルテル」を外国テロ組織に指定し、マドゥロ政権の支援を受けて麻薬密売その他の違法行為に携わっていると非難している。テロ組織指定により、米軍がベネズエラで行動を起こすための道が開かれたことになる。

この動きに対してベネズエラ政府は強く反発している。そもそも「太陽のカルテル」の存在自体を否定しているし、この地域で活動するその他の犯罪・武装組織とベネズエラ政府とのつながりも認めていない。

マドゥロは侵攻への備えとして、兵力約10万の国軍を支援するために民兵を最大450万人動員することを表明した。その一方で平和を望み、武力衝突は回避したいとの意向も繰り返し述べている。

現在この地域に展開している米軍の兵力と、ベネズエラの国土の広さや軍隊の規模との差を考慮すると、03年3月に始まったイラクに対する作戦のような大規模侵攻に発展する可能性は低い。

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