最新記事
世代間格差

子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍、高齢者に手厚く子どもに冷淡な予算の闇

THE GREAT BOOMER BAILOUT

2025年11月27日(木)17時25分
ヘスス・メサ、アニタ・パウエル

「社会保障の受給者は寄生虫ではない」と掲げる有権者

政治集会で「社会保障の受給者は寄生虫ではない」との主張を掲げる有権者 TOM WILLIAMSーCQ-ROLL CALL/GETTY IMAGES

スターリによれば、政府支出の多くは義務的支出で、社会保障(公的年金)、メディケア(高齢者医療保険制度)、国債の利払いが連邦予算の多くを占めている。それ以外の子育て支援、教育、インフラなどは、残った予算の奪い合いになる。

スターリはこの状況を「財政民主主義」の死と呼ぶ。民主・共和「両党とも身動きが取れない」というのだ。「共和党は富裕層の税負担引き上げに抵抗し、民主党は公的年金や医療への政府支出の増加が抑えられることを警戒している」


一方で高齢者は、自分たちが優遇され若年層が割を食っているという主張に異を唱える。スターリはジャーナリストのグレン・クレーモンと共同執筆で24年にニューヨーク・タイムズに「若いアメリカ人はベビーブーム以前の世代を支え切れない」と題した論説を寄せた。これに対してはシニアの読者から、公的年金やメディケアは自分たちが現役時代に納めた保険料で賄われているのであり、高齢者に与えられた特権ではないとの反論が寄せられた。

高齢者組織の代表を務めるマックス・リッチマンは、公的年金制度(正式名称は老齢・遺族・障害保険制度)を高齢者優遇制度のように語るのは間違いで、「不必要な世代間対立を招く」と主張する。現役世代も退職後まで待たずとも、いざというときに役立つ制度だというのだ。「この制度の下では、27歳で配偶者と2人子供がいれば、平均して約200万ドルの生命・障害保険に入っているのと同じ保障がある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計

ビジネス

成長型経済へ、26年度は物価上昇を適切に反映した予

ビジネス

次年度国債発行、30年債の優先減額求める声=財務省

ビジネス

韓国ネイバー傘下企業、国内最大の仮想通貨取引所を買
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中