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保育所・認定こども園は今や共働き世帯の親の就労を支える施設

2025年11月26日(水)11時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

需要が増している保育所と認定こども園だが、これらの園に通っている子の割合には地域差もある。やや古いが2020年の『国勢調査』によると、0~5歳児のうち保育所ないしは認定こども園に通う子の割合は43.9%。これを都道府県別にみると、最高は島根で68.1%、最低は神奈川で34.9%。倍の開きがある。この指標を、母親のフルタイム就業者率と関連づけてみると<図2>のようになる。

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都道府県単位のデータだが、右上がりの強い相関関係がみられる。乳幼児の在園率が高い県ほど、母親のフルタイム就業者率は高い傾向だ。因果関係は両方向だろうが、子を長時間預かる施設・園を増やすことが、共稼ぎの増加、女性の社会進出の促進に寄与するのは間違いないだろう。

「事業の必要経費として、子どもを保育所に預ける費用(保育所利用料)も認めてほしい」と、弁護士らが国を訴えている。以前は、保育所は「日々保が護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育する」と法律で定められていて、何か特殊な事情がある家庭の子を保育(養護)する施設、というように見られていた。だが現在では法律の条文も変わり、働く親からの需要に応える形で在籍者も激増している。親の就労を支える施設、親が働くための施設となっているのは明らかだ。

認可保育所の利用料は無償になってはいるものの、対象は3~5歳児であって、0~2歳児の場合は住民税非課税世帯に限られる。しかし<図1>から分かるように、3歳未満の子の在園率もかなり増えている。制度適用の範囲をどうするか、改めて慎重に検討すべき時期に来ている。

<資料>
総務省『国勢調査』(2020年)

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