【徹底解説】トランプ関税は終わるのか？ 米最高裁が合法性を問う審理を開始

最高裁が判断するポイント

裁判所が判断するのは主に2点。1)まず、IEEPAがこのような関税措置を大統領に認めているかどうか。2)そしてもし認めているとすれば、それは議会の課税権を憲法に反して行政府に委譲していることにならないか。

政権を代表する司法省のジョン・サウアー訟務長官は、「関税は輸入規制の正当な手段であり、脅威への対処として有効な手段である」と主張する。

歴史的に、議会が大統領に対し、外国の行動に応じた関税調整の権限を委ねた前例があり、「このような委任は特に新しいものではない」としている。

これに対し、原告である中小企業連合および12州は、「関税は事実上の税であり、課税権は議会にしかない」と主張している。

権力と政策をめぐる重大な意味

この裁判の影響は極めて大きい。

本誌の調べでは、2025年における関税による歳入は約1950億ドル（約29兆円）にのぼり、今後10年間で3兆ドル（約450兆円）に達する見込みだ。

もし最高裁が政権に不利な判決を出せば、現行の関税を前提とした通商合意が崩れ、財政見通しも大きく下方修正されることになる。一方でトランプに有利な判決となれば、今後の経済政策における緊急権限の行使が大幅に拡大する可能性がある。