Valerie Volcovici David Shepardson

[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米政権は12日、温室効果ガスの排出が人の健康を害するという科学的判断である「危険性認定」の撤回を発表した。全車両・⁠エンジンを対象にした連邦温室効果ガス排出基準も廃止するとした。

今回の動きは、連邦政府による気候関連規制の法的根拠を排除するもので、米政権によるこれまでで最も広範な気候変動政策の後退を意味する。

トランプ大統領は「環境保護局(EPA)が⁠完了したプロセスにより、われわれは正式に、いわゆる『危険性認定』を終了する」と表明。「米国史上最大の規制緩和措置⁠」だとした上で、「(危険性認定は)オバマ政権時代の悲惨な政策で、米自動車産業に深刻な損害を与え、米消費者が支払う価格を押し上げた」と主張した。会見にはEPAのゼルディン長官と行政管理予算局(OMB)のボート局長も同席した。

EPAは声明で、危険性認定は連邦大気浄化法の誤った解釈に基づいているとし、「この欠陥のあ⁠る法理論は、複数の点でEPAを法定権限の範囲外に導いた」と主張した。

オバマ元大統領は、危険性認定の撤回によって国民の⁠安全⁠や健康が損なわれ、気候変動と戦う力も低下するとXに投稿。化石燃料業界の利益を増やすための措置だと批判した。

米国は2009年に危険性認定を初めて採用。これにより、EPAは1963年の大気浄化法の下、自動車や発電所などからの温暖化ガス排出を規制する措置を講じてきた。

認定撤回により自動車の連邦温室効果ガス排出基準を測定・報⁠告・認証・順守するための規制要件が不要となるが、発電所などの固定排出源には当初適用されない可能性がある。

EPAは同認定の撤回と車両に対する連邦温室効果ガス排出基準の廃止により、米納税者が1兆3000億ドルを節約できると主張した。

大手自動車メーカーを代表する米国自動車イノベーション協会(AAI)は今回の措置に支持を表明しなかったが、「電気自動車(EV)に対する現在の市場の需要を考慮すると、前政権で最終決定された自動車の排出ガス規⁠制は達成が極めて困難だ」と述べた。

環境防衛基金(EDF)は米国民の負担が拡大するだけだと批判。代表のフレッド・クルップ氏は「ゼルディン長官はEPAに対し、嵐や洪水の悪化、保険料の高騰を引き起こしている汚染から米国民を守ることをやめるよう指示した」とし、「この措置は汚染をさらに悪化させるだけで、米国の家庭にとってコスト増加と深刻な被害につながる」と述べた。

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