発足から3年たったメローニ政権の「通知表」...イタリア政界のかじ取り役の地位を維持できる?
リスク回避的な統治
外から見ると、メローニ氏のイタリアは激動の欧州の中にあって、安定して栄える島のように映る。
先月、イタリアの10年物国債利回りは初めてフランス国債と同水準まで低下した。22年に国内総生産(GDP)比8.1%だった財政赤字が、今年は3.0%に急減するとの見通しを反映した動きだ。
格付け会社フィッチはイタリアの財政健全性を評価し、同国の信用格付けを引き上げた。対照的に、フランスは25年に財政赤字の対GDP比率が5.4%になると予想されており、格付けを引き下げられた。
もっとも、メローニ氏のリスク回避的な統治は財政赤字を抑える効果こそあれ、長年の官僚主義、高いエネルギーコスト、人口減少、持続的な頭脳流出、高税率、低賃金に悩まされてきた硬直化した経済を解放することにはほとんど寄与していない。
代わりにメローニ氏が行ったのは、国家のアイデンティティーと伝統的な家族の価値観を擁護することで、右派の支持基盤を固めることだった。また法と秩序に重点を置き、司法制度の刷新と警察権限の強化を図ろうとしている。
こうした政策は経済にほとんど貢献しておらず、イタリア国家統計局(ISTAT)によると、同国の鉱工業生産は過去3年間で約7.5%減少した。
国際通貨基金(IMF)の予測では、イタリアのGDP成長率は25年にわずか0.5%、26年には0.8%にとどまる見込みだ。これはユーロ圏全体の1.2%、1.1%と比べて低い。





