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ガザ合意

トランプはなぜガザ合意を成立させられた? ガザの平和維持のため、本当に必要なものとは

An Uneasy Peace

2025年10月15日(水)16時10分
ダニエル・バイマン(ジョージタウン大学教授)

イスラエルのほとんどの人は、アメリカと強力な関係を維持する重要性を認識しているから、トランプの圧力を理由にすれば極右のこれ以上の離反を招くことなく、戦争に終止符を打てるだろう。来年総選挙を控えるネタニヤフにとっては、今が潮時であり、チャンスでもあった。

ただ、大きな前進とはいえ、今回の合意を維持するのは難しいだろう。ネタニヤフは選挙を意識して、再びハマス幹部を攻撃したり、一部のパレスチナ人囚人の解放を遅らせたりするかもしれない。ハマスも、ガザの実効支配を完全に手放すわけにはいかないと考えるかもしれない。


従ってアメリカはパートナー諸国と連携して、全ての当事者が合意を尊重するよう圧力をかけ続け、より野心的な段階(ガザの再建やハマス以外の組織による統治、そしてパレスチナの国家樹立)へと進めなければならない。

究極的には、今回の合意はイスラエルにとっても、ガザにとっても勝利ではなく、戦争疲れと国際的な圧力と政治的計算から生まれた、不安定な一時停止にすぎない。それが存続するかどうかは合意の文面よりも、この脆弱な停戦を永続的な解決の基盤に変えるという全当事者の意欲に懸かっている。

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