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十字架とカネと票 ── 旧統一教会から広がる韓国「教団=小財閥」の構図

2025年9月30日(火)08時31分
佐々木和義
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁

拘束前被疑者尋問のためソウル中央地裁に出廷した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁 REUTERS/Kim Hong-Ji

<旧統一教会の韓鶴子総裁の逮捕。韓国の新興宗教は資本と票を束ね、国家の意思決定に影を......>

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁が9月23日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領夫人の金建希(キム・ゴニ)氏の不正疑惑を捜査している特別検察官チーム(以下、特検)により、ソウル中央地裁の拘束令状発付を受けて身柄を拘束された。韓総裁は17日に特検に出頭して取り調べを受け、22日に逮捕状発付の審査が行われた。この間、拘置所で待機していた韓総裁は、逮捕状が発付されるとそのまま収監された。

韓鶴子総裁、逮捕容疑は政治献金など

韓総裁の容疑は4つある。①教団の尹英鎬(ユン・ヨンホ)前世界本部長を通じて2022年1月に権性東(クォン・ソンドン)議員に政治資金1億ウォンを渡した政治資金法違反、②尹錫悦夫妻と親しかった占術師「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏を通じて金建希夫人に高級ブランドバッグなどを贈った請託禁止法(いわゆるキム・ヨンラン法)違反、③金建希夫人への贈り物を教団の資金で購入した業務上横領、④自身の海外賭博疑惑に関する警察の捜査に備えて証拠隠滅を指示した証拠隠滅教唆である。

また2023年3月の「国民の力」党代表選挙を前に、権議員を当選させるため、信者を"集団入党"させた疑いももたれている。特検によると「国民の力」党員のうち11万人が旧統一教会信者で、うち3600人が2022年11月~23年3月に入党したとされる。

韓鶴子は1960年に統一教会の教祖・文鮮明(ムン・ソンミョン)と結婚、教団内では文鮮明とともに「真の父母」と呼ばれてきた。1985年に米国で夫・文鮮明の代わりに演説を行い、92年以降は世界各地を訪問して講演を行った。また教団を象徴する宗教儀式である合同結婚式も主催した。

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