最新記事
宗教

十字架とカネと票 ── 旧統一教会から広がる韓国「教団=小財閥」の構図

2025年9月30日(火)08時31分
佐々木和義

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部

京畿道加平郡清平面にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部(筆者撮影)

贈賄の背景にカンボジアのODA?

旧統一教会が国会議員や大統領夫人に金品を贈った背景には、カンボジアODAが関連するとみられている。教団は当時、メコン川の流域に「アジア太平洋ユニオン本部」の建設計画を推進しており、韓国政府のカンボジアODA事業を受注する思惑があったと考えられている。特検・検察はこのODA案件受注をめぐる請託の有無についても調べているという。

教団=小財閥

旧統一教会は日本では高額献金や霊感商法などで"カルト教団"として認識されるが、韓国では小財閥としても認知されている。文鮮明が亡くなった12年に公表された傘下企業は世界日報や龍平リゾートなど15社、資産総額は1兆7361億ウォンだったが、実際の傘下企業は50社以上、総資産6兆ウォンを超えているとされ、不動産資産だけでも5000億ウォンを超えていた。

代表的な資産にソウル江南(カンナム)の商業施設セントラルシティがある。韓国最大の高速バスターミナルに隣接するショッピングセンターで地下鉄が3路線が乗り入れているターミナル駅ビルで、行政安全部のデータによる地下鉄の乗降客は1日10万人以上だ。 新世界百貨店を核店舗とするセントラルシティは、地下街「GOTOMall」(ゴートゥーモール)やJWマリオットホテルなどが入居する。文鮮明が亡くなった直後の12年、新世界グループはマレーシア系投資目的会社が保有していたセントラルシティの持分60.02%を約1兆250億ウォンで取得し筆頭株主となった。この投資会社の持分は、統一教会の迂回資産とみられており、相続税を捻出するため売却した可能性が取り沙汰された。

国立西洋美術館「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」鑑賞チケット2組4名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アサヒグループHD、システム障害復旧のめど立たず 

ビジネス

ステランティス、過去4年にイタリアで1万人削減=労

ビジネス

日銀ETF、売却に100年かける必要ない 売却益の

ワールド

米、輸入木材に10%関税・洗面台など25% 10月
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 2
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から思わぬものが出てきた...患者には心当たりが
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 5
    シャーロット王女の「視線」に宿るダイアナ妃の記憶.…
  • 6
    マシンもジムも不要だった...鉄格子の中で甦った、失…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かっ…
  • 9
    英国王のスピーチで「苦言チクリ」...トランプ大統領…
  • 10
    カーク暗殺の直後から「極左」批判...トランプ政権が…
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 3
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒りの動画」投稿も...「わがまま」と批判の声
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 6
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中