最新記事
ロシア

殺人被害者はすでに242人、ロシアを待つ「ウクライナ帰還兵」問題...アフガン侵攻後の大混乱が再来?

2025年9月13日(土)20時24分

ある消息筋は、狙いはソ連のアフガニスタン侵攻終結後に起きた社会的混乱の再現を避けることだと明かす。当時、帰還兵は組織犯罪の拡大を助長し、1990年代のソ連を荒廃させた。

同じ消息筋は続ける。民間生活に戻った兵士の多くは、いま受け取っている高額の給与のようには稼げず、不満が高まるだろう。たとえば、モスクワ出身の新兵はウクライナ戦争に参加した最初の年に、少なくとも520万ルーブル(約960万円)を得られる。うち、契約一時金は190万ルーブルで、モスクワの平均年収にほぼ匹敵する額だ。

大統領府、国防省、司法省はいずれも、ウクライナから帰還する部隊がもたらすリスクについてコメントの要請に応じなかった。

イスカリエフ受刑者は2件の殺人を認めて現在は重警備刑務所で服役しており、ロイターは接触できなかった。

帰還兵の管理は、ロシアだけの課題ではない。米退役軍人省によれば、ベトナム戦争に出征した米国人約270万人のうち、「かなりの少数派」が心理的・社会適応の問題に苦しんだという。

ウクライナ戦争には、他の多くの紛争と決定的に異なる点がある。両陣営が受刑者を前線に送っていることだ。

ロシア矯正当局とウクライナ情報機関のデータによれば、ロシアは2022年の侵攻開始以降、12万ー18万人の受刑者を兵士として採用した。

これまでに帰還した兵士の中心は、受刑者、重傷者、そして戦うには年齢が高いと見なされた人々だ。一方で、プーチン大統領は約70万人がウクライナで戦闘中だと述べる。大多数はなお前線にいる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中