最新記事
中南米

南米の大国ブラジル、「その栄華は長くない」理由...経済の「成長エンジン」に訪れた限界とは?

Brazil's Economy Threatened by Dire Population Trends

2025年9月12日(金)16時50分
マイカ・マッカートニー
集まってブラジル国旗を作る人々

ブラジルは生産年齢人口の多さなどを武器に経済成長してきたが Sudarsan Thobias-shutterstock

<ブラジルは生産年齢人口の多さを武器に経済発展の恩恵を享受してきたが、今後もそれが続くとは限らないようだ>

ブラジルは現在、人口動態の転換点に直面している。経済学者たちはこれにより、長期的な経済の安定性を損なう可能性があると警告している。

財政や労働市場の構造的な課題が長引く中で、出生率の低下と高齢化が同時に進行しているのだ。


ブラジルは数十年にわたって、生産年齢人口の増加と公衆衛生の着実な改善を背景に、家計所得と国内消費の上昇を伴った経済成長を享受してきた。

しかし、かつての人口ボーナスは今や、重い負担へと姿を変えつつある。ブラジルは「豊かになる前に老いる」道をたどりはじめた。中所得国では、都市化や教育へのアクセス向上、生活費の上昇を背景に母親の初産年齢が遅れ、家族の規模が縮小することが一般的になっているが、ブラジルも例に漏れない。

人口動態の変化がもたらす結果は、予測可能だが深刻だ。労働力を維持する人々の減少、扶養率の上昇、すでに資源の制約に直面している年金制度や公的医療制度への圧力の増大などがブラジルに襲い掛かることになるだろう。

2024年1月に「エコノミスト」誌が報じたように、中南米全域で出生率が急落している。ブラジルでも、高齢者のケアにかかる費用の急増によって財政や社会の安定が脅かされるおそれがある。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英GDP、7月は前月比横ばい 製造業急減で下半期は

ワールド

トランプ政権、難民申請者の権利大幅制限を国連で提唱

ビジネス

マイクロソフト、Teams抱き合わせ問題でEUと合

ビジネス

アルマーニ氏遺言、段階的株式売却かIPO検討を指示
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 5
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 6
    毎朝10回スクワットで恋も人生も変わる――和田秀樹流…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    村上春樹が40年かけて仕上げた最新作『街とその不確…
  • 9
    謎のロシア短波ラジオが暗号放送、「終末装置」との…
  • 10
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 6
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 7
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 10
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 4
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中