最新記事
民主主義

他国の追従を許さない、「シャープパワー強国」2カ国...その異なる特徴から分かること

2025年8月7日(木)16時45分
水村太紀(国際協力銀行〔JBIC〕調査部 調査役)
スマホによる偽情報

NOBUHIRO ASADA-shutterstock

<「中国型」と「ロシア型」には共通点もあるが、明確な相違点もある。民主主義国を揺さぶるシャープパワーのアプローチを解き明かす(シリーズ第2回)>

台北、オタワ、パリ、ワシントンD.C.――。これらは、民主的選挙が権威主義国家によるシャープパワーの標的となった現場である。

近年、情報操作や政治介入といったシャープパワーの行使が国際的に注目を集めているが、中でも際立った存在感を放っているのが、中国やロシアとのつながりが疑われると言われている情報発信主体である。こうしたアクターが展開する影響力工作は、情報操作の規模や手法の巧妙さといった観点で、他国の追随を許さないところである。

※関連記事:日本の安全神話も崩壊...権威主義国のシャープパワーがいま世界各国で影響力を増している

国際社会は、この2カ国が発信元とされるシャープパワーにどう立ち向かうべきかを問われている。

「中国型」と「ロシア型」のシャープパワーに共通するのは、民主主義の開放性につけ込む形で、一方向的な影響力工作を行い、民主主義体制の信頼性を損なわせる点にある。

しかし、その具体的な手段や狙いには独自性が見られる。

今回は、中国型とロシア型のシャープパワーの特徴を明らかにしつつ、この2カ国との関わりが疑われるアクターがどのようなアプローチで、民主主義国家に揺さぶりをかけているのかを明らかにしたい。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、次期FRB議長最有力候補に

ワールド

米、イラン巡り18の団体・個人に制裁 制裁回避を支

ワールド

FRB理事にミランCEA委員長指名か、ホワイトハウ

ワールド

イスラエル首相、ガザ全域支配の意向表明 ハマス反発
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 5
    経済制裁下でもロシア富豪はますます肥え太っていた…
  • 6
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    【クイズ】1位は中国で圧倒的...世界で2番目に「超高…
  • 10
    大学院博士課程を「フリーター生産工場」にしていい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中