他国の追従を許さない、「シャープパワー強国」2カ国...その異なる特徴から分かること

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<「中国型」と「ロシア型」には共通点もあるが、明確な相違点もある。民主主義国を揺さぶるシャープパワーのアプローチを解き明かす(シリーズ第2回)>
台北、オタワ、パリ、ワシントンD.C.――。これらは、民主的選挙が権威主義国家によるシャープパワーの標的となった現場である。
近年、情報操作や政治介入といったシャープパワーの行使が国際的に注目を集めているが、中でも際立った存在感を放っているのが、中国やロシアとのつながりが疑われると言われている情報発信主体である。こうしたアクターが展開する影響力工作は、情報操作の規模や手法の巧妙さといった観点で、他国の追随を許さないところである。
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国際社会は、この2カ国が発信元とされるシャープパワーにどう立ち向かうべきかを問われている。
「中国型」と「ロシア型」のシャープパワーに共通するのは、民主主義の開放性につけ込む形で、一方向的な影響力工作を行い、民主主義体制の信頼性を損なわせる点にある。
しかし、その具体的な手段や狙いには独自性が見られる。
今回は、中国型とロシア型のシャープパワーの特徴を明らかにしつつ、この2カ国との関わりが疑われるアクターがどのようなアプローチで、民主主義国家に揺さぶりをかけているのかを明らかにしたい。