「男は仕事、女は家庭」の意識がいまだに残る日本では少子化は止まらない

令和の時代になっても日本の性役割分業意識はいまだに根強い 78design/photoAC
<日本は他の先進諸国と比較すると、既婚男女の収入格差が最も大きい>
「男は仕事、女は家庭」という性役割分業は、昔ではごく当たり前のことで、社会の維持・存続に必要とすら考えられていた。中学校の技術・家庭科の履修規定が、「男子は技術、女子は家庭」と定められていたことに、それが表れている。
だが今は違う。労働力人口が減る中、女性の社会進出を促進させないと社会の維持・存続が危うい。個々の家庭にしても、今後は夫婦共稼ぎが必要。男性の腕一本で一家を養えていた時代など、とうに終わっている。そして何より、性役割分業は女性の権利(幸福追求権)を侵害する。こういう認識のもと、性役割分業を無くす動きが広がっている。
しかしながら、令和の時代になっても男女の「すがた」はかなり違っている。<表1>は、既婚男女の年収分布を比較したものだ。無業者(年収ゼロ)も加えている。
女性では無業者が32%と最も多い。3人に1人だ。残りの7割が有業者だが、年収の上位層はわずかしかいない。対して男性では無業者はほとんどおらず、年収が上位25%以上の層(C6、C7)が全体の44%を占めている。
いまだに、旧態依然の性役割分業が根を張っていることが分かるが、これがどれほど強いかを測る単一の尺度を計算してみる。7つのグループの分布が、男女でどれほどズレているかは、右側の累積相対度数をグラフにすることで視覚化される。横軸に女性、縦軸に男性の累積相対度数をとった座標上に、7つのグループのドットを配置し線でつなぐと、<図1>のようになる。
図に描かれた青色の曲線を、ローレンツ曲線という。この曲線の底が深いほど、両軸の値の隔たりが大きい、すなわち男女の収入格差が大きいことになる。その程度は色付きの面積で示され、これを2倍にした値がジニ係数だ。格差が最も大きい場合、色付きの面積は四角形の半分(0.5)となるので、ジニ係数はこれを倍にして1.0となる。逆に完全平等の場合は、ローレンツ曲線は対角線と重なるのでジニ係数はゼロとなる。ジニ係数が0.0~1.0の値をとるのは、こういう意味であって、現実の値はこの両極の間のどこかに位置している。