最新記事
米中関係

トランプが中国に仕掛ける貿易戦争は「自滅的」...この戦争の勝者が中国になる納得の理由

CHINA’S LONG GAME

2025年7月29日(火)15時55分
ゾーイ・リウ(米外交問題評議会上級研究員)
ファーウェイの展示

ファーウェイは中国のスマートフォン市場で4年ぶりに首位を奪還 CFOTOーSIPA USAーREUTERS

<トランプの仕掛ける貿易戦争で、中国は不退転の構えで応じている>

米中両国の報復関税合戦は5月のジュネーブにおける閣僚級協議で、8月12日まで一時休戦(追加関税の主要部分の適用停止)の状態にある。トランプ米大統領は例によって、この単なる時間稼ぎをアメリカに有利な「取引」と呼んでいるが、中国側の読みは異なり、勝機は自陣にありとみている。トランプ関税の嵐をやり過ごした今、中国はより自信を深め、対米依存を減らしており、年来の努力が実を結ぶ日は近いと信じている。

2018年に米中貿易戦争が始まって以来、中国は高率関税や経済制裁の影響を緩和するため、攻めと守りを組み合わせた両面作戦で対抗してきた。


防御面では第三国を経由する迂回貿易のルート確立、米ドルに依存しない決済システムの構築、国産技術への戦略的投資の加速などがある。AI(人工知能)やグリーンテクノロジーといった戦略分野を強化する手段として、国内消費の刺激にも努めている。

攻撃面では輸出規制の強化や迅速かつ的を絞った報復措置の発動がある。今回の関税攻撃に対しても、中国は戦術的な柔軟性と原理原則では譲らない強硬姿勢で対応し、どんな脅しにも屈せず、むしろ相手を自分の土俵に引きずり込んでいる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

スズキが日産上回る、25年上半期の世界販売

ワールド

中国政治局会議、経済支援へ 無秩序な競争取り締まり

ビジネス

再送-メルセデス、乗用車部門利益率予想4─6% 関

ビジネス

サッポロの不動産事業売却、野村不含め3陣営が応札準
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 3
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突っ込むウクライナ無人機の「正確無比」な攻撃シーン
  • 4
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 5
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 6
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    タイ・カンボジア国境紛争の根本原因...そもそもの発…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「出生率が高い国」はどこ?
  • 10
    グランドキャニオンを焼いた山火事...待望の大雨のあ…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 8
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 9
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 10
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中