最新記事
米外交

トランプはゼレンスキーに「嘘をついた」のか?...兵器供与再開の裏にある米政権の「不都合な真実」

The Clown Car Rolls On

2025年7月15日(火)17時35分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
トランプ政権の主要人物、左からルビオ国務長官、トランプ米大統領、ヘグセス国防長官

政権内で「ボスへの忠誠心」争いが繰り返されている(左からルビオ、トランプ、ヘグセス) KEVIN LAMARQUEーREUTERS

<ウクライナへの兵器供与の停止と再開をめぐる迷走で、トランプ政権の無秩序・無戦略・無軌道ぶりが改めて浮き彫りに>

トランプ政権の「ピエロの車」はガタガタと走り続けている。速度制限も赤信号もお構いなし。危険や迂回を促す警告にも動じない。そして、またしても新たな事態が発生した。アメリカからウクライナへの武器支援をめぐり、継続、停止、再開と二転三転したのだ。


6月末に米国防総省の当局者は、防空ミサイルを含むさまざまな兵器供与を一部停止する命令に署名した。その頃ロシアはまさに、戦争が始まって以来、最も激しいドローン(無人機)とミサイルの集中攻撃をウクライナに対して行っていた。

アメリカ国内の在庫が危険なほど減少しているため自国の備蓄を優先するという国防総省の説明に、一部のアナリストは異議を唱えた。

混乱が続くなか、ドナルド・トランプ米大統領は7月3日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で会談。プーチンは戦闘継続の意向を改めて表明したという。

4日にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも電話で協議し、兵器供与の停止は自身の判断ではないと伝えた。つまり、アメリカの大統領であり米軍の最高司令官である自分が知らなかったと認めたのだ。そして、いずれにせよ供与は再開されるとも語った。

一体、何が起きていたのだろうか。トランプはゼレンスキーに嘘をついたのか。供与停止の命令は「先月」のことで、単に忘れてしまったのか(トランプがニュースを飾る頻度を考えれば、昔の話だ)。あるいはピート・ヘグセス国防長官が、大統領が承認するだろうと見越して、正式な指示を待たずに動いたのか。

いずれの仮説も十分に現実的であるという事実が、ただただ恐ろしい。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

〔情報BOX〕米・イスラエルがイラン攻撃、国際社会

ワールド

高市首相、経済的な影響の洗い出し指示 イラン情勢で

ワールド

ロシア、米・イスラエルのイラン攻撃を非難 「再び危

ワールド

再送-マクロン仏大統領、イラン問題で国連安保理の緊
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍事工場を攻撃...「着弾の瞬間」を捉えた衝撃映像を公開
  • 3
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 6
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 7
    トランプがイランを攻撃する日
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキン…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 8
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 9
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中