最新記事
中東情勢

自衛権を奪うのは「第二のホロコースト」...イスラエル外相が反論

2025年5月29日(木)15時17分
パレスチナ人支援集会でイスラエルのネタニヤフ首相を描いたプラカードを掲げるデモ参加者

パレスチナ自治区ガザへの軍事攻撃に批判を受けているイスラエルのサール外相は28日、「イスラエルの自衛の権利と能力を奪うことは、ただ一つのことを意味する。第二のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)だ」と反論した。写真はパレスチナ人支援集会でイスラエルのネタニヤフ首相を描いたプラカードを掲げるデモ参加者。キプロス・ニコシアで26日撮影(2025年 ロイター/Yiannis Kourtoglou)

パレスチナ自治区ガザへの軍事攻撃に批判を受けているイスラエルのサール外相は28日、「イスラエルの自衛の権利と能力を奪うことは、ただ一つのことを意味する。第二のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)だ」と反論した。戦争犯罪と人道に対する罪の容疑でイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)や、イスラエルへの武器禁輸を求める動きなどを例示し、それらがイスラエルの自衛能力を損なっていると反発した。

さらに、イスラエルが「ユダヤ民族を抹殺しようとする古くからの願望がより強くなった」時代を生きているとも主張。エルサレムで開かれた反ユダヤ主義に関する会議で語った。


 

フランスと英国、カナダの3カ国首脳は先週、イタリアも28日になってイスラエルに対してガザへの軍事攻撃停止を要求した。サール氏は「新しい反ユダヤ主義はイスラエルを標的にしている」とし、「それは悪魔化、非国民化、ダブルスタンダード(二重基準)を使っている」と批判した。

フランスと英国、カナダによるイスラエルへの要求についてネタニヤフ氏は先週、敵対するイスラム組織ハマスを「勇気づけている」とし、3カ国首脳は「歴史の間違った側にいる」と非難していた。

ハマスによる2023年10月のイスラエル南部への襲撃で約1200人が死亡し、イスラエルとしては1948年の建国後で犠牲者数が最大となった。また、251人が人質としてガザに連れ去られた。これを受けてイスラエル軍はガザでハマス壊滅作戦に乗り出し、パレスチナ人約5万4000人を殺害した。

ガザを再占領し、パレスチナ人を追い出そうと企てているネタニヤフ氏は政府内の強硬派から支持を受け続けている。

イスラエル紙ハアレツが今週報じたイスラエルのユダヤ人1005人に対する世論調査によると、回答者の82%がパレスチナ人をガザから追放することを支持し、56%がイスラエルのパレスチナ人を追放することに賛成した。また、47%は旧約聖書に登場するエリコの戦いで住民が虐殺されたように、戦闘で征服した都市の住民を全て殺すべきだと考えていると答えた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

関税の影響を評価するのは時期尚早=FRB金融政策報

ビジネス

米株式ファンドから大幅に資金流出 中東緊迫化と関税

ビジネス

フィラデルフィア連銀製造業指数、3カ月連続マイナス

ワールド

IAEA事務局長「最大限の自制を」、イラン核施設へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 8
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 9
    「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プ…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中