中国戦闘機「殲10」が仏機を撃墜...実力は本物? 世界の戦闘機調達が変わる
Upgrading Asian Defense
価格と性能だけではない
地政学的緊張が高まるなか、東南アジア諸国は防衛能力向上のための投資を増やしており、主要な兵器プラットフォームの調達はヨーロッパに頼っている。特に、戦闘機や軍艦といった重要な兵器や技術の供給を中国に過度に依存することを避けてきた。
その理由の1つは、最近まで殲10のような中国製品は戦闘での実績が乏しく、大きな市場を持たなかったこと。もう1つは、中国が東南アジア各国と繰り広げている領土紛争が、大規模な兵器取引の妨げになっていることだ。
最近の動向がこの方針を変化させる可能性はあるのだろうか。潜在的にはあり得るが、注意すべき点がある。第1に、単一の戦闘から確固たる結論を導き出すことは困難だ。詳細の検証は難しく、戦術、訓練、任務支援といった他の要因も大きく影響した可能性がある。殲10がラファールより優れていると断定はできない。
もう1つ重要な点は、産業の高度化を目指す工業化途上国にとって国防物資の調達とは、最良の装備を低価格で購入することだけではない。第2の、時にはより重要な目的は、技術、技能、そして国内生産能力を獲得することだ。16年にインドがラファール36機を購入した際には、ダッソーが現地のサプライチェーンを利用し、インド企業に投資するという「抱き合わせ」が条件に含まれた。