ロサンゼルスで広がる「鉛汚染」の恐れ...山火事が引き起こした健康被害の危険性、対応には壁も

5月7日、フェンウィックさん一家は幸運だった。1月に米西部カリフォルニア州ロサンゼルスの北東部で猛威を振るった山火事で、一家4人は真夜中の避難を強いられた。火災が落ち着いて戻ってみると、自宅は焼けずに残っていた。写真は1月、山火事で焼け落ちたカリフォルニア州アルタデナの住宅跡で撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)
フェンウィックさん一家は幸運だった。1月に米西部カリフォルニア州ロサンゼルスの北東部で猛威を振るった山火事で、一家4人は真夜中の避難を強いられた。火災が落ち着いて戻ってみると、自宅は焼けずに残っていた。
しかしそれから4カ月後、フェンウィックさん一家や、ロサンゼルス東部イートン地区の火災の焼け跡近くに住む数千人もの住民たちは「鉛汚染」という新たな脅威に直面している。
フェンウィックさん一家は先週、ロサンゼルス郡公衆衛生局(DPH)が設けた無料の移動検査場で、血中に含まれる鉛を調べるための血液検査を受けるために数百人の行列に並んだ。
ミシェル・フェンウィックさんは、夫のダーシーさんが1歳半の女児のリリーちゃん、5歳の男児を抱きかかえる傍らで「私が一番心配しているのは鉛中毒だ。特に1歳半の娘は現在、あらゆる物を口に入れる時期だからだ」と話した。
災害対応を担う連邦緊急事態管理庁(FEMA)は2月、山火事の被害があった土地の土壌検査を拒否。被害がなかった土地を検査する計画もないと説明した。
これに対してロサンゼルス郡は土壌のサンプル検査を発注し、4月上旬にイートン地区と隣接する土地の土壌から州の許容レベルを超える鉛を検出したと発表した。
米疾病対策センター(CDC)によると、鉛汚染は長期にわたる暴露で神経毒性や臓器障害を引き起こす可能性がある。