最新記事
弾劾

韓国、ユン大統領罷免を受けて政界は大統領選へ 野党「共に民主党」イ・ジェミョンが大きくリード

2025年4月9日(水)20時00分
佐々木和義

弾劾の経緯と背景

尹前大統領は2024年12月3日、「非常戒厳」を発令、翌4日に国会決議に基づいて解除したが、野党が尹大統領の弾劾訴追案を国会に提出、12月14日に可決した。2025年1月14日から2月25日まで憲法裁判所で弁論が行われ、4月4日に罷免が決定した。

韓国では大統領は国会で弾劾案が可決されると職務が停止され、180日以内に憲法裁判所が弾劾を認容するか棄却するかを宣告する。認容が宣告されると大統領は罷免となり、棄却の場合は公務に復帰する。

現憲法下の弾劾は3人目であり、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は弾劾2カ月後の2004年5月14日に憲法裁判所が棄却を下して公務に復帰。朴槿恵(パク・クネ)元大統領は弾劾2カ月半後に罷免となった。今回は弾劾から宣告まで100日を超えており、長引いたことにはさまざまな憶測が飛び交った。全会一致に時間がかかったという推測や、決定文の表現を精査したという見方、世論の流れを見極めていたとの見方もある。

そもそも尹前大統領が政界に進出したきっかけは朴槿恵元大統領の訴追だった。朴槿恵政権が誕生して間もない2013年4月、水原地方検察庁驪州支庁長として国家情報院の世論操作事件で、朴槿恵政権を揺るがしかねない捜査を行ってたとして左遷。2016年12月以降、朴槿恵元大統領の疑惑を追及するなど保守政権と敵対したことから、文在寅前政権になると検事総長に登用されるも曺国の疑惑究明で文在寅政権と対立。これによって反文在寅勢力の次期大統領候補として支持が急騰し、国民の力から大統領選に出馬、当選したという経緯がある。

世論調査にみる国民の評価

世論調査によると、尹前大統領の罷免を「良い決定」とする回答は74%に達し、「憲法裁の判決結果を受け入れる」という回答は87%に上った。また、尹前大統領の「拘束捜査が必要」とする意見は64%で、「必要ではない」という意見29%を大きく上回った。

罷免についてソウル市民の声を聞くと、保守層の会社経営者は「選挙までさらに2カ月、政治の空白が続くことによる影響が心配」と話し、40代の会社員は「憲法裁判所が無罪判決を下しても国会との対立を考えると政権運営が難しくなるだけだった」と話すなど、罷免自体はやむを得ないという考えが目立った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-イラン、インド船籍ガスタンカー

ワールド

イラン新指導者、負傷で姿見せない公算 外見損傷か=

ワールド

キューバ、米と協議開始 石油封鎖の影響深刻化

ビジネス

米個人消費1月堅調、PCE価格指数前年比2.8%上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 8
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 9
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 10
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中