トランプに捨てられ現実を直視...ロシアの脅威を前に「嘆かわしいほど怠慢だった」と反省する欧州は「手遅れ」なのか

DEFENDING EUROPE

2025年4月4日(金)19時58分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)、マシュー・トステビン(シニアエディター)

newsweekjp20250404031632-00c6848f1dec0c8db7117b9f5c4179a3225406ae.jpg

2月14日、バンス米副大統領(左手前)はミュンヘン安全保障会議で欧州に警告(写真は米独2国間協議) JOHANNES SIMON/GETTY IMAGES

ドナルド・トランプ米大統領に正面から侮辱され、国土を大きく奪われる可能性にも直面するウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「数十年続いたヨーロッパとアメリカの関係は終わりつつある」と警告した。「ヨーロッパはその現実に適応しなければならない」

厳密には、アメリカはヨーロッパを見捨てるとは言っていない。結局のところヨーロッパには今も、数万の現役米兵が駐屯している。だがトランプ政権は安全保障の重点をアジアなどに移すことを示唆し、大統領は国防予算を半減したい意向を表明した。アメリカは現在、NATOの防衛費の3分の2を負担している。


J・D・バンス米副大統領は2月のミュンヘン安全保障会議で、「危機に直面する他の地域にアメリカが注力するなか、欧州が防衛により大きな責任を負うことは同盟関係において重要だと考える」と演説して聴衆を啞然とさせた。

アメリカはNATO加盟国に防衛費をGDPの5%まで増やすよう要求した。現在NATOの基準は2%で、基準を満たしていない国もある。欧州最大の経済大国ドイツは2%を超えたばかりだが、ロシアと国境を接するポーランドは既に4%を支出し、リトアニアとエストニアは5~6%までの増額を約束した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英シュローダー、第1四半期は98億ドル流出 中国合

ビジネス

見通し実現なら利上げ、米関税次第でシナリオは変化=

ビジネス

インタビュー:高付加価値なら米関税を克服可能、農水

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中