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荒川河畔の「原住民」(26)

「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生活保護受給者...

2025年3月28日(金)19時05分
文・写真:趙海成

「炊き出し」現場には食べ物だけではなく理髪サービスも

以前は主にホームレスを対象に行われてきた炊き出しだが、近年ではコロナ禍や物価高の影響により、住む場所がある人々も炊き出しに訪れていて、その割合も大きく上昇しているという。

面白いことに、炊き出し現場で理髪サービスを提供している女性を見かけた。聞くと、理髪料は100円だそうで、一般的な理髪店の10分の1にも満たない。私が見るかぎり、このサービスを受けに来るのはすべて高齢者だった。ひっきりなしに客がやってくる。

空き地沿いの道路には多くの自転車が駐車されており、自転車で来ている人が少なくないことがわかった。無料の昼食を受け取るために、北区の赤羽から上野公園まで徒歩で往復する友人の話を思い出した。

ホームレスの大半は、炊き出しに行くためにわざわざ電車や地下鉄を利用しようとはしない。なぜなら、その数百円の交通費で一回の昼食を食べられるからだ。

穏やかな様子の炊き出し、キリスト教の儀式も

11時半ごろ、道端にワゴン車が止まっているのが見えた。

ボランティアのスタッフ数人がファストフードや飲み物の入った箱を降ろし始めた。同時に、ボランティアが人込みの中、列に並ぶ人に食品の受取番号を配っているのも見えた。

話によると、先に来て番号を引き取った人は、追加の「プレゼント」をもらうことができるという。

昼の12時に、炊き出しが本格的に始まった。

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