最新記事
日本社会

地方から都会へ、若い女性の人口流出が加速している

2025年3月12日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

子どもを産む若い女性が出ていくことは、出生数の減少にも繋がるだろう。2024年の20代後半女性人口が、5年前の20代前半女性人口の何倍になったかを横軸、2023年の出生数(2010年を100とした場合)を縦軸にとった座標上に、47都道府県を配置したグラフにすると<図2>のようになる。

newsweekjp20250312014608-e59115f68c9965641f760a2775322caf68cb5396.png

右上がりの傾向が見られる。女性が多く流出している県ほど、出生数の減少が著しい。左下の県では、10年ちょっとの間で出生数が4割以上も減ってしまっている。図の傾向が「因果関係」とは限らないが、女性の流出は地域にとっての死活問題と言っていい。


若い女性が流出する要因として、雇用がないとか、娯楽がないとか言われるが、最近では地域のジェンダー慣行に注目されるようになっている。<図2>の横軸の女性減少率は、3世代世帯率のような指標とも強く相関している。「嫁としての振る舞い」を求められることへの抵抗もあるだろう。

賃金の性差や管理職の女性比率等で示される、働き方のジェンダー平等がどれほど進んでいるかも重要で、各県はこういう指標にももっと関心を払うべきだ。兵庫県豊岡市のように、女性の流出を止めるためジェンダーギャップ解消に力を入れる自治体も出てきているが、こういう取り組みが広がることが望まれる。

旧態依然の文化を残したままでは、金銭面でのUターン(移住)支援の効果も上がりそうにない。昭和や平成初頭の頃とは時代が変わっている。

<資料>
総務省『国勢調査』
総務省『住民基本台帳人口』

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国、対米投資協議で「大きな進展」=企画財政相 

ビジネス

英賃金上昇率、22年5月以来の低水準 雇用市場に安

ワールド

インドネシア大統領、トランプ氏に「エリックに会える

ビジネス

イオン、3―8月期純利益は9.1%増 通期見通し据
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 9
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 10
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中