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気候変動

世界最大の氷山、サウスジョージア島沖で座礁...生態系への影響は?

Mapped: World's Largest Iceberg Runs Aground Off South Georgia

2025年3月6日(木)14時30分
シェーン・クラウチャー ジョン・フェン

世界最大の氷山「A23a」が座礁...生態系への影響は?

海洋学者によると、これは地元の野生生物に対して大きな影響を与える可能性は低い。しかし、商業漁業には混乱や危険な障害物をもたらす恐れがある。小さな氷塊は追跡が難しく、船舶にとって危険要因となるからだ。

また、気候変動による氷の損失のペースは、海洋循環や海面上昇、生態系に深刻な影響を及ぼしている。

BASの発表によると、衛星画像では氷山は現在のところ構造を維持しているものの、いつまで持ちこたえられるかは予測困難だという。崩壊の時期も不透明だ。

このような大規模な氷山は珍しいものではあるが、決して未知の現象ではない。氷床の自然なライフサイクルの一部であり、崩壊と溶解は通常のプロセスに含まれる。

研究者らは、この氷山の融解によって生じる生態系への影響を詳しく調査しており、特に海洋の食物連鎖にとって不可欠な存在である植物プランクトンの動向に注目している。

氷山が溶けることで放出される栄養素は植物プランクトンの成長を促進し、それが海洋表層から深海へ二酸化炭素を輸送・貯蔵する「炭素隔離」に寄与する可能性がある。このメカニズムの詳細については、さらなる研究が必要とされている。

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