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公的機関は解体すべき「敵」なのか?...無秩序の時代にこそ「再生のチャンス」がある

GOODBYE DEEP STATE

2025年3月4日(火)20時07分
ジェフ・マルガン(英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン教授)

ウィキペディア、ケニア発のウシャヒディ(災害対応や社会運動を支える情報プラットフォーム)、オランダ発のビュートゾルフ(在宅ケア組織)など市民社会も新モデルを開発し、官民パートナーシップの新形態も数多く生まれている。

公共部門では2009年にインドが個人識別番号制度のアドハーを導入。約14億人の国民に生体認証IDを提供して金融サービスのアクセスの大幅な拡大に貢献している。インドはこの10年、「最大限の統治と最小限の政府」を実践してきた。


中国は11年に世界初で後の中国サイバースペース管理局を設立し、政府系ファンドの「政府引導基金」を利用して、新しい技術のために数兆ドルを調達している。

だが世界の多くの地域で、公共機関はほとんど変わっていない。

多くは100年前のピラミッド構造のままで、新たに設立する際も、比較的高齢の政治家や公務員らの委員会が組織を設計し、縦割りで、階層的で、柔軟性に欠けるものになりやすい。

AIの分野は現状と必要なもののギャップが鮮明だ。AIが公共や民間のサービスで広く利用されるようになって20年がたつが、AIを適切に管理する制度はようやく構築され始めたばかりだ。

昨年ノーベル経済学賞を受賞したダロン・アセモグル教授らが指摘するように、ある国が他の国よりはるかに繁栄する理由の1つは制度にある。

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