最新記事
犯罪

「20万人の詐欺帝国」──移転を繰り返すミャンマー犯罪組織の行方

2025年2月26日(水)10時04分
ルーク・ハント

情報筋によれば、少なくとも数千人が自主的にシュエコッコやモエイ川付近などの詐欺拠点に入っている。

全員がミャンマー国軍傘下だったカレン民族軍(KNA)か、カイン(カレン)州を勢力圏とする国軍寄りの武装勢力・民主カレン慈善軍(DKBA)のどちらか(あるいは両方)と協力関係にある。

「シュエコッコだけで約2万人と聞いた。中国人が送還されれば、中国語話者のミャンマー人に置き換えられるだろう。拠点が閉鎖されることはない」と、別の情報筋は言う。


ミャワディにいる数百人の「白人エンジニア」を含め、高給に釣られて犯罪組織の仕事を引き受けた人々をどうするかという厄介な問題もある。彼らの大半がアメリカ人で、自分の意思で詐欺に加担して多額の報酬を得ている。

情報筋によれば、「白人エンジニア」は詐欺用アプリの開発者で、犯罪組織にとって非常に役に立つので「解放」されない可能性があるという。

ある情報筋によると、最近まで1日約150人がミャワディの詐欺拠点に到着していたが、その数は取り締まりの効果で減っている。そのため、犯罪組織のボス連中は代替地を探し始めているという。

「大ボスたちはKNAとDKBAにショバ代を払っているので逮捕の心配はない。彼らは拠点内にとどまることもできるし、ビザがあれば1万6000タイバーツ(480ドル)でヤンゴンに行ける」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EU、35年以降もエンジン車販売を容認する制度検討

ビジネス

日経平均は続落、5万円割れ AI関連株の下げが重し

ワールド

SNS情報提出義務化、米国訪問に「委縮効果」も 業

ビジネス

三菱UFJFG社長に半沢氏が昇格、銀行頭取は大沢氏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中