最新記事
アイアンドーム

ロシアが本気になれば1000発以上の核弾頭が降ってくる...米国版「アイアンドーム構想」の実像とは

DONALD TRUMP’S IRON DOME?

2025年1月22日(水)19時04分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)

newsweekjp20250122034227-31ea98ef8126d85810e365c06b626118b477f2ff.jpg

ロシア北西部の発射場から試験発射されたICBM RUSSIAN DEFENSE MINISTRY PRESS SERVICEーAP/AFLO

第2次トランプ政権は、1期目よりも世界が危険な状態で始まる。核兵器による威嚇が横行し、弾道ミサイルの実験が続くなか、2期目のトランプ政権はいかなる本土防衛計画を描くのか。

今の迎撃態勢はその場しのぎ

現状で、ロシアや中国から飛んでくる大量のICBMを全て迎撃できる統合システムは存在しない。ただし北朝鮮の撃ち込む比較的少数のミサイルなら撃ち落とせる。


しかし、所詮はその場しのぎの対応だ。

現在アメリカ国内には地上配備型迎撃ミサイル(GBI)が44基配備されている。うち40基はアラスカ州のサイロに格納されており、4基はカリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地に地上配備型ミッドコース防衛(GMD)の一環として配置されている。

なお国防総省は2028年をめどに、現在のGBI44基に加えて次世代迎撃ミサイル(NGI)20基を配備する予定だ。

迎撃できなかったミサイルには、海軍のイージス艦が対応することになる。スーファーによれば、イージス艦で国土の3分の1を守れる。ミサイル防衛局と海軍は20年11月、模擬弾頭のICBMに対する弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)の発射実験をしている。

グレン・バンハーク退役空軍大将は、米国北方軍と(アメリカとカナダの)北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の司令官だった23年3月当時の議会証言で、「北朝鮮による限定的な弾道ミサイルの脅威から国土を防衛する現有能力には自信がある」としながらも将来の対応には懸念を示し、NGIの実戦配備が「決定的に重要」だと指摘していた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

見通し実現なら経済・物価の改善に応じ利上げと日銀総

ワールド

ハリス氏が退任後初の大規模演説、「人為的な経済危機

ビジネス

日経平均は6日続伸、日銀決定会合後の円安を好感

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    フラワームーン、みずがめ座η流星群、数々の惑星...2…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中