トランプのおかげで「プーチンの夢」が叶う?...再来するトランプ・ワールドの外交・内政・経済を徹底予測

NASTIER AND MORE BRUTAL

2025年1月17日(金)14時00分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

プーチン大統領と語り合うドナルド・トランプ

ロシアのプーチン大統領と語り合うトランプ(18年) KEVIN LAMARQUEーREUTERS

1945年以降の米外交の軸となってきた同盟関係や国連以下の国際機関、TPP(環太平洋経済連携協定)や気候変動対策のパリ協定も、トランプの目にはただ弱小国(つまりアメリカ以外の国)がアメリカを食い物にする手段と映る。

だから、ホワイトハウスに舞い戻れば再びパリ協定から離脱することだろう。脱退まではしなくても、WHO(世界保健機関)や国連の権限や影響力を弱めようとするだろう。

【関連記事】そもそも「パリ協定」って何?...知っておきたい、世界共通の「2度目標」と「1.5度目標」


NAFTA(北米自由貿易協定)に代わるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)は2026年に再交渉の時期を迎えるが、トランプはこれを見直すか弱体化させると公言している。そもそもUSMCAは1期目のトランプ政権が、力ずくで押し付けた協定なのだが。

第2次大戦後のヨーロッパに安定をもたらした要の存在として「史上最高に強力で成功した同盟」と評されるNATO(北大西洋条約機構)も無事ではいられない。加盟諸国を関税が襲うし、国防支出を増やさなければアメリカはおまえたちを守ってやらないという脅迫が来る。

1期目にも言っていたことだが、トランプはNATO加盟国に対する集団防衛の義務を果たす義理はないと思っている。NATOの一員でも国防予算をGDPの5%まで増やさないような国に対しては「ロシアの好きなように」させてやるとも述べた。

こうなるとトランプのロシアとの関係は反逆罪に相当するのではないかと、筆者を含めた諜報・外交のプロは考えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ

ワールド

米上院議員が戦争権限決議案、トランプ氏のイラン軍事

ビジネス

NTTドコモ、 CARTAHDにTOB 親会社の電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中