カーター元米大統領の外交政策――低評価の2つの理由とその背景を検証

Carter Was a Foreign-Policy Visionary

2025年1月7日(火)16時34分
ジョナサン・オルター(元本誌コラムニスト)

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第2次戦略兵器制限条約の調印を前にブレジネフ書記長(左から2人目)と(79年6月、ウィーン) AP/AFLO

カーターが人権問題を初めて前面に押し出したのは76年の大統領選の最中だった。フォード政権は当時、世界各地で起きている人権問題を無視していると非難されており、カーター政権で国務次官補を務めることになる側近のリチャード・ホルブルックが格好の争点になると提案した。

カーターは48年の世界人権宣言を以前から高く評価しており、アメリカの公民権運動を世界的な動きにしようと決意していた。

この外交姿勢が冷戦に与えた影響の重要性は過小評価されている。反体制派の劇作家でチェコスロバキア大統領に就任したバツラフ・ハベルは、カーターの人権重視が刑務所に収監されていた自分を鼓舞し、ソ連圏の「自信」をくじいたと語る。


一方で、カーターは米ソ関係に旧来のハードパワーも用いた。国防費を大幅に増額し、国防総省はステルス戦略爆撃機B2スピリットやGPSなどの技術を開発して、後にレーガン政権がソ連を威嚇する際に役立った。

79年12月にソ連がアフガニスタンに侵攻した後、カーターは翌80年1月の一般教書演説で「カーター・ドクトリン」を発表。石油の供給が妨害された場合はペルシャ湾岸で武力行使も辞さないと威嚇した。一方で対ソ連の穀物禁輸は効果がなく、モスクワ夏季五輪のボイコットは当初こそ支持を得たが、すぐに政治的な負担となった。

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