アメリカの歴史に名を残す「トランプはこの100年で最も力強い政治家に」地滑り的勝利には理由がある

LIVING IN THE AGE OF TRUMP

2024年11月18日(月)17時18分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

newsweekjp20241114053343-fef1e3a7452d2a3881e42f39e817ebf419a35e0b.jpg

首都ワシントンで演説し敗北を認めたハリス副大統領 ANDREW HARNIK/GETTY IMAGES

一つの政党をこれほどまでに支配できた人物はいまだかつて存在しない。2016年の大統領選でトランプが勝利したのは時代遅れの「選挙人団」制のおかげでも、まぐれでもなかった。ある識者に言わせると、もはや「ドナルド・トランプは異常現象ではなく標準」なのだ。

②地位の喪失から生まれた復讐心

トランプはこの国の時代精神を最も鋭く読み取っている。一部のエリートに対する大衆の怒りを、ほとんど直感で理解している。ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストであるデービッド・ブルックスに言わせれば、こうだ。

「聞こえてくるのはリスペクトの再分配だ。高学歴の者は祭り上げられ、その他の者は姿が見えない。特に男子はきつい。高校生になると成績上位10%の3分の2は女子で、下位10%の約3分の2が男子だ。学校教育は男子に味方しない。それが個人の一生にも国全体にも影響を及ぼす」


選挙戦終盤で、トランプはジョー・ローガンやネルク・ボーイズなど、若い男性に人気のポッドキャスト主宰者に接近した。結果はどうか。トランプ当確が報じられた途端に、SNSではこんな文句が拡散した。

「アメリカの国としての性別が判明したぞ、男の子だ!」。共和党全国大会でジェームズ・ブラウンの名曲「マンズ・マンズ・ワールド(男の世界)」と共にトランプを登場させた演出も秀逸だった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中