最新記事
不法移民

メキシコとの国境地帯の砂漠で「20年間で4000人以上の移民が死亡」実際の死者は3〜8倍との指摘も

DEAD AND BURIED

2024年11月6日(水)19時02分
ダン・グッディング、ビラル・ラーマン(共に本誌記者)

newsweekjp20241106062235-f99bdb79c3e9d526bae26c1749d869b51ad9ee1d.jpg

ボランティア団体バタリオン・サーチ・アンド・レスキューの面々 JAMES HOLEMAN/BATTALION SEARCH AND RESCUE

「骨がぽつんと1本だけ見つかることもあれば、動物に荒らされ、そこらじゅうに散らばっている場合もある」と、彼女は説明する。「遺体の近くで所持品が見つかることも多い。衣服、バックパック、身の回りの物や携帯電話がよく残っている」

もともと移民に英語を教えていたカーペンターは退職後、使命を感じて捜索活動に参加した。問題に真剣に取り組まない政府には批判的だ。「砂漠で死にかけているか死亡した人がいるかもしれないのに、政府は捜そうとしない」


実際の死者は統計の3〜8倍

「正式な入国地からアメリカに入れば、国境警備隊に逮捕される」と密輸業者に言いくるめられ、違法な場所で国境を越える移民は後を絶たない。そのため行方不明者に関するデータが不足していることも、大きな問題だ。

自身も行方不明者の捜索に携わるカリフォルニア大学デービス校のブラッド・ジョーンズ教授(政治学)は、今の状況を「非人道的」と呼ぶ。

「この20年間で4000人以上の移民がアリゾナ州とメキシコの国境地帯で死亡したことが分かっている」と、ジョーンズは言う。

「だが4000というのは発見された遺体の数にすぎない。発見された遺体1体につき、未発見の遺体が3〜8体あると推定されている」

がん検診
がんの早期発見を阻む「金額の壁」を取り払う──相互扶助の仕組みで「医療格差の是正」へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 7
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 9
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中