最新記事
ウクライナ戦争

ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせる作戦か、戦争でタガが外れたのか

Taking No Prisoners: Why Russia Is Executing Ukrainian Captives

2024年10月17日(木)19時03分
ブレンダン・コール

その模様を映した映像から、捕虜となった操縦士らは武装解除され、着衣をはぎとられ、整列させられて、射殺されたとみられる。これは明らかに、捕虜の待遇などを定めたジュネーブ条約に違反する重大な戦争犯罪だと、ウクライナの人権オンブズマンを務めるドミトロ・ルビネツは言う。

ウクライナ軍の元兵士で地政学アナリストのビクトル・コバレンコによると、ウクライナ軍が国境を越えてクルスク州に攻め込み、何百人ものロシア兵を捕虜にしたため、ロシア側は捕虜交換に「より柔軟」になり、ウクライナ側はより強気で交渉に臨める立場になっていたという。

「とはいえ、ウクライナ兵捕虜の処刑が増えた主な理由はそれでは説明がつかない」と、コバレンコは本誌に話した。「ロシアは、ウクライナ人を脅して、ウクライナ軍の動員を妨害しようとしているのだ」

ウクライナ議会は今年4月、兵員不足の解消を目指す「改正動員法案」を可決した。これにより、18歳から60歳までの男性は現住所や家族状況などの個人情報を軍に登録することが義務付けられ、避難先や転居先にも招集令状が来るなど、より徹底した動員が行われるようになった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マスク氏、税制・歳出法案また批判 「雇用破壊し米国

ワールド

トランプ氏、イスラエル首相裁判巡り検察を批判 米の

ワールド

G7、国際最低課税から米企業除外で合意 「報復税」

ワールド

タイで大規模デモ、首相退陣要求 国境紛争巡り批判
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 6
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中