最新記事
ウクライナ戦争

クルスク州「重要な補給路」がHIMARSのターゲットに...ロシアの浮橋が「跡形もなく」破壊される瞬間

Russian Pontoon Bridges Destroyed by Ukraine in Kursk: Videos

2024年9月9日(月)21時30分
マーサ・マクハーディ
ウクライナ軍の車両

ロシアと国境を接するスームィ州を走るウクライナ軍の車両(8月10日) Viacheslav Ratynskyi-REUTERS

<これまでにもセイム川に架かる複数の橋を破壊してきたウクライナ軍。最新の映像には、巨大な水柱が立つ瞬間が>

ウクライナ軍はロシア・クルスク州の浮橋をさらに1つ破壊したとみられ、新たに公開されたソーシャルメディア上で拡散中の動画がその様子を伝えている。

【動画】ロシア軍の「重要な補給路」である浮橋を完全破壊...ウクライナ軍のHIMARS攻撃で巨大な水柱が立つ瞬間

映像には、ウクライナ軍機がセイム川に架かる浮橋を攻撃する様子が映っている。テレグラムチャンネル「Shrike News」によると、ウクライナ軍は認識していた9つすべての浮橋を破壊したという。

攻撃に使用されたのは、高機動ロケット砲システム「HIMARS」だとみられる。ウクライナ軍はこれまでにもセイム川に架かる橋3つのうち少なくとも2つと、複数の浮橋をそれぞれ別の攻撃で破壊していた。これらの橋はロシア軍が主要な補給路として使用していた。

ロシア国内の前線における衝突は、ウクライナのクルスク侵攻が続く中で激しさを増している。ウクライナは8月6日に越境攻撃を仕掛け、ロシア軍に不意打ちを食らわせた。

この攻勢は第二次世界大戦以来、外国軍がロシア領を占領した初めてのケースだ。ウクライナによれば、同軍がほんの数日間で掌握したロシアの領土は、ロシアが今年に入ってから制圧したウクライナの領土を上回るという。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8月中旬、クルスク州の少なくとも80の集落を掌握したと述べた。

ウクライナはクルスク州で支配下に置いた地域をそのまま保持するつもりはないと述べているが、前線沿いの他の地域の戦力を支えるロシアの補給路を遮断し、破壊力の強い空襲から自国領土を守りたい考えだ。

ウクライナはクルスク州のスジャを集中攻撃し、先週スジャの町とその北西に位置する集落コレネヴォ周辺を完全に制圧したという。コレネヴォの南西にはウクライナとの国境により近いグルシュコフとズヴァンノエがある。

北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍のクリストファー・カヴォリ最高司令官は8月13日、ウクライナのクルスク攻勢について語り、ロシアの対応について酷評した。

「ウクライナの侵攻を受けたロシアの対応はいまだにまとまりを欠く。これまでのところ、ロシアの反応は鈍いうえに散漫だ」

カヴォリは米超党派組織の外交問題評議会が主催した会合でそう述べた。

「ロシアでは(ウクライナ軍のクルスク侵攻について)権限の所在が定まっていない」とカヴォリは続け、さらにこう述べた。「ウクライナ国内の軍事作戦についてはロシア国防省が責任を負うが、ロシア国内となると違うのではないか」

本誌はロシアとウクライナ両国の国防省に電子メールでコメントを求めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中