最新記事
米中関係

パンダ外交再開? 中国からサンディエゴへ新たな2頭のパンダが到着

Giant Pandas Make 'Historic' US Debut at San Diego Zoo

2024年8月14日(水)16時20分
シャノン・マクドナー
サンディエゴ動物園でパンダの新たな時代が始まる(写真はイメージです) Elena Loshina-Unsplash

サンディエゴ動物園でパンダの新たな時代が始まる(写真はイメージです) Elena Loshina-Unsplash

<中国からの新たな2頭のパンダがサンディエゴ動物園で華々しいデビューを果たした>

カリフォルニア州サンディエゴ動物園で、2頭のジャイアントパンダが数カ月にわたる準備を経てデビューした。

【動画】歴史的な瞬間!サンディエゴ動物園にパンダが復帰

ユンチュアンとシンバオは、木曜日に数百人が参加したオープニングセレモニーでお披露目された。この2頭は、21年ぶりにアメリカに入国したパンダだ。

四川省の山岳地帯から約7000マイルの旅を経て、現在、2頭はサンディエゴ動物園とその周辺コミュニティのスターとなっている。

「ユンチュアンとシンバオを世界に紹介できることを嬉しく思います」と、サンディエゴ動物園野生生物同盟の社長兼CEOであるポール・バリボー氏は声明で述べた。

「来園者は、この素晴らしいジャイアントパンダたちと会い、その重要性に感動し、私たちが信頼する中国のパートナーと共に行っている保全活動について学び、彼らの未来を守るために協力することができます」

パンダ外交に再開の兆しか

動物園の保全主義者たちは、この動きを「歴史的」と表現している。

ユンチュアンは5歳のオスだ。彼は単なる訪問者ではなく、母親のジェンシェンは2007年にサンディエゴ動物園で生まれ、2018年に野生に放たれた。シンバオは4歳のメスだ。

両パンダは約6週間前から現地に滞在し、新しい環境に慣れつつある。今後も彼らの食事や健康状態が継続的に監視される予定だ。

近年、アメリカと中国の間で「パンダ外交」が衰退している。北京はパンダを同盟国や競合国への友好のシンボルとして定期的に利用してきた。

しかし、両国間の外交的緊張が高まる中、貸与契約は更新されず、いくつかのアメリカの動物園がパンダを中国に返送している。

今週まで、アメリカ国内で唯一パンダが見られるのは、アトランタにある4頭(そのうちの1組は双子が生まれている)のパンダだけだった。

この動きの政治的重要性は見逃されておらず、セレモニーにはカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏と、アメリカ駐在の中国大使である謝鋒氏が出席していた。

「昨年11月、習近平主席はサンフランシスコで、中国がアメリカと引き続きパンダ保全に協力する用意があると発表しました」と謝氏は演説で述べた。

「ユンチュアンとシンバオが、我々の外交関係の45周年を祝う中でサンディエゴに到着したことは明確かつ重要なメッセージを送った。パンダ保全における中米協力は終わらず、両国間の人々の交流と地方間協力は止まらず、一度開かれた中米友好の扉は再び閉じられることはない」

新設された「パンダリッジ」

ユンチュアンとシンバオは、完全に改装された新しい囲いに迎え入れられた。

以前のパンダ生息地の4倍の広さを誇るこのスペースは「パンダリッジ」と名付けられ、中国の象徴的な地質学的ランドマークからインスピレーションを得ている。周囲には豊かな植生が広がり、山岳、峡谷、崖の感覚を再現しようとしている。新鮮な竹も豊富に用意されている。

カリフォルニアを拠点とするアーティストであり、オベイクロージングの創設者であるシェパード・フェアリー氏(2008年に元大統領バラク・オバマの「Hope」キャンペーンポスターを制作した人物)も記念作品を公開するために出席した。

「地球を越えた友情」と題されたこの肖像画には、サンディエゴ動物園に20年以上滞在していたパンダ「バイユン」と、「威厳」「尊敬」「保全」という言葉が描かれている。

パンダリッジの設立は、シタデルおよびシタデル・セキュリティーズのケネス・C・グリフィン氏とペン・ジャオ氏からの寄付によるものが大きい。

北京出身のペン・ジャオ氏にとって、このイベントの文化的重要性は計り知れない。

「子供の頃、私は定期的に北京動物園にパンダを見に行きました」と彼は本誌に語った。

「この壮大な種を保護し、シンバオとユンチュアンを世界と共有する役割を果たせることを光栄に思います」

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マクロスコープ:自民総裁選、問われる野党戦略 小泉

ビジネス

英CPI、8月は前年比+3.8% 予想と一致

ビジネス

午後3時のドルは146円半ばで上値重い、米FOMC

ワールド

旧統一教会の韓鶴子総裁を聴取、前大統領巡る不正疑惑
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中