最新記事
アニメで解説

富裕層の「中国捨て」が止まらず...1万5000人以上が「脱出」を選ぶ理由【アニメで解説】

2024年7月11日(木)15時16分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Newsweek Japan-YouTube

<中国で進む富裕層の「国外脱出」について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>

今年、中国からは1万5200人以上の富豪が国外へ流出し、富裕層の国外脱出で世界1位になると富裕層向け移住コンサルティング会社「ヘンリー・アンド・パートナーズ(H&P)」は予想している。

止まらない「国外脱出」の背景には何があるのか? また「富裕層の流出国ランキング」意外な2位は?

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド...2位は意外な「あの国」【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

◇ ◇ ◇

八方ふさがりの中国経済

中国では近年、習近平国家主席が掲げる「共同富裕」のスローガンの下、SNSでの「金持ち自慢」投稿を禁止し、テック企業への締め付けを強化中。これらが始まった時期から富裕層の国外脱出が増え始めた。

また、中国経済は世界2位の規模を誇るが、不動産危機、地方政府が抱える巨額の債務、若年層の失業率の高さ、内需の伸び悩みに苦しんでおり、困難な状況に置かれている。

中国の富裕層

ただし、中国には純資産100万ドル以上の富豪が約86万2400人いるとされており、国外への移住を試みるのはそのうちのごく一部だ。

米シンクタンク「アジア・ソサエティー政策研究所」付属中国分析センターのグオナン・マー上級研究員は、国外脱出が増えている背景として、まず習政権による「国内テクノロジー企業への規制強化」を挙げる。

英金融サービス会社・リフィニティブによると、アリババや騰訊(テンセント)など中国の巨大テック企業5社の株式時価総額は2020年末から2023年7月までに合計1兆ドル以上も縮小した。

テクノロジー

加えて、不動産価格の下落やデフレ圧力によりドル建てと人民元建ての資産収益の差が出てきていることや、「中国内政と地政学的なリスクの高まり」が起業家や投資家の資産分散を加速させていることが、国外脱出増加の要因として考えられるという。

富裕層の国外流失の多さで第3位のインドでは、経済成長に伴って新たなミリオネアが生まれている。中国では2013年から2023年にかけてミリオネアが92%増加したものの、経済成長が伸び悩んだ結果、ビリオネア(純資産10億ドル以上)の人数が19%低下した。

中国経済

やはり不動産価格の暴落による影響は大きい。不動産危機が始まる前、中国のGDPの25~30%が不動産部門で、中国人の世帯資産の約7割が不動産関連だった。

富裕層の国外流失が世界で2番目に多いのはイギリス。H&Pによると、今年中に9500人のミリオネアが国から出ていくといい、これは昨年の約2倍にあたる。

イギリスから出ていくミリオネア

■より詳しい内容については動画をご覧ください。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マクロスコープ:流動する政界、高市氏と玉木氏の「極

ビジネス

サムスン電子、第3四半期は32%営業増益へ AI需

ワールド

即時利下げ必要ない、11月会合はデータ注視へ=豪中

ビジネス

複数の自動車大手巡り英で大規模裁判、排ガス試験で「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中