最新記事
東南アジア

少数民族カレン族、ミャンマー東部で貿易拠点を制圧...軍事政権の対応に大きく左右される「今後の展開」

Significant Capture

2024年4月24日(水)12時20分
セバスチャン・ストランジオ(ディプロマット誌東南アジア担当エディター)
タイ国境付近をパトロールするカレン民族解放軍(KNLA)の兵士(4月15日) ATHIT PERAWONGMETHAーREUTERS

タイ国境付近をパトロールするカレン民族解放軍(KNLA)の兵士(4月15日) ATHIT PERAWONGMETHAーREUTERS

<貿易の要衝を制したカレン族の武装組織、タイ国境の「新しい現状」をめぐる戦略は>

ミャンマーで国軍と戦闘を続けている少数民族、カレン族の武装勢力は、東部カレン州でタイ国境沿いの重要な貿易拠点であるミャワディを制圧したと主張している。

カレン民族同盟(KNU)は4月12日付で声明を出し、軍事部門のカレン民族解放軍(KNLA)が、民主化勢力の結成した軍事組織の国民防衛隊(PDF)と共に、ミャワディに最後まで残っていた国軍の軍事基地を制圧したと発表。町も完全に掌握したと述べている。

「現時点で、ミャワディにある(軍事政権の)全ての拠点は攻撃され、占領されている」「国民は慌てずに協力することを勧める」

声明には奪取した大量の武器弾薬を示す写真が添付されていた。地元メディアは、町中で反政府勢力を歓迎する看板を前に兵士たちがポーズを取る、お決まりの写真も掲載している。

ミャワディ周辺では昨秋からKNLAとPDFが国軍を攻撃しており、4月5日にはミャワディの西10キロにある重要な拠点や基地を制圧。国軍の兵士477人とその親族140人が投降したとされている。KNUは引き続き国軍の部隊に降伏を求めたが、交渉は決裂。KNLAとPDFは9日午後に国軍の基地への攻撃を開始した。

この重要な貿易拠点の陥落が南東部の衝突にとって、さらにはミャンマーの内戦にとって何を意味するのか、詳しい分析は時期尚早だ。しかし、2021年のクーデターで権力を掌握した軍事政権にしてみれば、屈辱的な敗北であることは明らかだ。

避難民がタイ側に流入?

特に、複数の武装勢力が戦闘を繰り広げている北東部シャン州と、民族運動が続いている西部ラカイン州では最近、国軍が立て続けに大敗を喫していた。ブリュッセルに本拠を置くシンクタンクの国際危機グループのリチャード・ホーシーは、英ガーディアン紙に次のように語っている。

「ミャンマーで次に何が起こるかは、戦場での軍事的な損失だけの問題ではない。一連の容赦ない敗北が、軍事政権と予期せぬ政治的結果に及ぼす心理的な影響もある」

間もなく雨期が迫るなか、KNU側は勢力拡大と支配地域獲得の試みを止めて、現在掌握している国境沿いの要衝ミャワディとその税関、および国境管理の支配を固めるのか。それとも、モンスーンが到来する前にミャワディの西側で可能な限り多くの地域を奪うのだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀、S&P500年末予想を5500に引き上げ

ビジネス

UAE経済は好調 今年予想上回る4%成長へ IMF

ワールド

ニューカレドニア、空港閉鎖で観光客足止め 仏から警

ワールド

イスラエル、ラファの軍事作戦拡大の意向 国防相が米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 4

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 7

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 8

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 9

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中