最新記事
ドネツク州

アウディーイウカ周辺で続く攻防戦...ロシア部隊を「全滅」させた砲撃の「瞬間映像」をウクライナが公開

Entire Russian infantry column wiped out in drone attack: Video

2024年3月8日(金)18時46分
エリー・クック
ウクライナ東部ドネツク州アウディーイウカのロシア兵

アウディーイウカ市内のロシア兵(2月22日) Russian Defence Ministry/via REUTERS

<東部ドネツク州アウディーイウカから西方に向かって攻勢をかけるロシア軍だが、ウクライナ軍も必死の抵抗を続けている>

ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州のアウディーイウカに続き、近辺の集落も掌握するなど攻勢を強めている。これに対抗するウクライナ軍だが、アウディーイウカで行動中のロシア軍の歩兵部隊を、砲撃によって全滅させた様子を捉えたものだという新たな動画が浮上した。

■【動画】ロシア軍の「西進」を阻止できるか...ウクライナが砲撃で、歩兵部隊を「全滅」させた瞬間の映像

ウクライナ軍第3独立強襲旅団は3月4日に発表した声明で、暗闇に紛れて木々の間を通って移動するロシア軍の歩兵部隊を、飛行中のドローンが見つけたと述べた。

その後、第3独立強襲旅団の自走砲部隊がロシア軍の拠点に向けて砲撃を行い、それによってアウディーイウカの近くが「焦土」と化したということだ。ウクライナ軍はその後、この攻撃のもようを捉えたとみられる暗視カメラ映像を共有した。

本誌はこの動画の信ぴょう性を独自に確認することができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

ロシア軍はアウディーイウカを制圧して以降、西に向かって攻勢を強めている。親ロ派の武装勢力が活動していたアウディーイウカは10年前から戦闘が続き、ウクライナ軍の要衝と考えられていた。そのアウディーイウカ制圧はロシア軍にとって、ドネツク州の激戦地バフムトを制圧して以来の大きな勝利だった。

アウディーイウカ周辺で攻勢を強めるロシア軍

ウクライナ軍はアウディーイウカから撤退してからのこの数週間の間に、アウディーイウカの西にあるステポベやラストチキン、シェベルネなど複数の集落から撤退したことを明らかにしている。英政府は先週発表した戦況分析の中で、これらの集落制圧が、アウディーイウカ周辺でのロシア軍の足場固めに役立つとの見方を示していた。

英国防省は2月29日にソーシャルメディア上に投稿した新たな戦況分析の中で、「ロシア軍はウクライナ軍が防衛の拠点にできる固定された、要塞化された拠点や都市部の地域が少ないことを利用して、アウディーイウカ周辺で勢いをつけたいと考えている可能性が高い」と述べた。

ウクライナはアウディーイウカ西方で防御態勢を取ろうと迅速に動いたものの、ニューヨーク・タイムズ紙が週末に公開した衛星画像からは、ウクライナがロシア軍の進路で高品質かつ強固な防衛を構築することに失敗したらしいことが伺える。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中