最新記事

「ウクライナ侵攻がなくても上がっていた?」食料価格が世界で高騰する3つの理由

2024年2月19日(月)11時30分
※JICAトピックスより転載
食料価格高騰の想定外の理由を真剣に聞く世良マリカさん

食料価格高騰の想定外の理由を真剣に聞く世良マリカさん(写真中央)。2002年神奈川県生まれ。19年に芸能界入りし、モデル、タレントとして活動。史上最年少16歳で「ミス・ワールド2019日本代表」になる。慶應義塾大学総合政策学部に在籍している

<食料価格はなぜ上がっているのか? 日本の「こども食堂」と通じ合うアフリカの取り組みとは? 国内外の「食」事情に通じた専門家をゲストに迎え、タレントで大学生の世良マリカさんと一緒に考える>

現在、世界では気候変動や食料危機など、さまざまな問題が起きています。そのような問題の現状や解決策について、「世界をもっとよく知りたい!」と意欲を持つタレントで大学生の世良マリカさんと一緒に、各界の専門家をゲストに招いて考えます。

第1回のテーマは「食料価格はなぜ上がっている?」。食の価格高騰問題に詳しい元東北大学教授の盛田清秀さん、日本の子どもの食に詳しい「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」理事の三島理恵さん、JICA経済開発部の松井洋治農業・農村開発第二グループ課長にお話を聞きました。

jica_food1.jpg

左から三島理恵さん、盛田清秀さん、世良マリカさん、JICAの松井洋治課長(経済開発部)、伊藤綱貴さん(広報部)

>>●動画はこちら

◇ ◇ ◇


JICA広報部 伊藤綱貴さん(以下、伊藤) 進行補佐の伊藤です。世良さん、もし、日本が輸入を停止した場合、国民に提供できる食事はじゃがいも、さつまいも、米がメインになるのですが、どう思われますか。

世良マリカさん(以下、世良) 炭水化物が多くて、偏りが気になりますね。

盛田清秀さん(以下、盛田) もっとタンパク質を補えるといいのですが、もしも日本が輸入を停止し、国民1人当たりに2020キロカロリーを提供しようとすると、いもが3食、牛乳は6日にコップ1杯、卵は7日に1個。お肉は100グラムを9日間に1回程度となります。

世良 お肉は9日に1食になってしまうんですね...。

jica_food2.jpg

輸入が止まった想定の食事を見て驚く世良さん

jica_food3.jpg

価格高騰は続くと話す盛田清秀さん。博士(農学)。2002年から2012年まで日本大学生物資源科学部教授、2012年から2018年まで東北大学大学院農学研究科教授、2018年から2022年まで公立小松大学国際文化交流学部教授を務める。農業政策、農業経済などに詳しい

食料価格高騰における3つの要因とは

盛田 現在、世界中で食料価格が高騰しています。世良さんは小麦を使った食べ物は好きですか。

世良 麺類が好きで、一日一食は食べます。

盛田 小麦をはじめとした穀物価格も上昇しています。20世紀後半は1トンあたり100ドルで推移していたのですが、最高時は1トン524ドルの高値を付けました。価格高騰の原因は何だと思いますか。

jica_food4.jpg

世良 ロシアによるウクライナ侵攻でしょうか。

盛田 その影響も大きいのですが、実はウクライナ侵攻がなかったとしても世界の食品価格は上がっていたと考えられます。その理由は3つです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、146円台後半 地合回復短

ビジネス

米国株式市場=主要3指数が1%超高、利下げ観測強ま

ワールド

独財務相「EUは強く交渉すべき」、訪米で鉄鋼輸出割

ワールド

ネタニヤフ氏、ガザ全面制圧に向け攻撃拡大に傾く 5
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザベス女王の「表情の違い」が大きな話題に
  • 4
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 5
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「原子力事…
  • 6
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    すでに日英は事実上の「同盟関係」にある...イギリス…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 10
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中