最新記事
注目ニュースを動画で解説

新たな「テロの時代」...? ハマスの「活躍」で過激派組織にたぎる野望、リクルート活発化の兆候も【アニメで解説】

2023年11月16日(木)19時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ハマス

Newsweek Japan-YouTube

<ハマスの「活躍」が世界中のイスラム過激派や反ユダヤ主義者を刺激か。新たなテロのリスクについて解説したアニメーション動画の内容を一部紹介>

イスラム組織ハマスがイスラエルにテロ攻撃を仕掛けたことで、過激思想に染まった不満分子による無差別テロが欧州各地で相次いでいる。テロ組織ではリクルート活動も活発化しているというが──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「ハマス奇襲で「テロの時代」再び...IS、アルカイダ、タリバンでリクルートの動きが活発に?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

 
◇ ◇ ◇

情報機関によると、イスラム過激派や反ユダヤ主義者はハマスの作戦に触発されて新たな攻撃方法を探っている可能性があるという。

鳴りを潜めたように見えるアルカイダやIS(イスラム国)、タリバン系列の組織だが、実のところ、ひそかに影響力を広げて襲撃の規模と残虐性を競い合っているようだ。新兵を募って資金や武器を入手するためには、残虐極まりない襲撃を世界に見せつけてその名をとどろかす必要がある。

テロの脅威が欧米で増大

10月中旬には、機密情報を共有する英語圏5カ国(米英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の協力の枠組み「ファイブアイズ」の会合が米カリフォルニア州で開かれた。この会合後に5カ国の代表は共同声明を発表。中東の危機を原因とするテロの脅威が増大していると警告した。

「ファイブアイズ」会合後に共同声明

ヨーロッパではイスラム過激派絡みの襲撃が相次いでおり、10月16日にはベルギーの首都ブリュッセルでサッカーの試合中に、ISのメンバーを名乗る男によってスウェーデン人サポーター2人が射殺された。

イタリアではISの新兵募集を行っていた疑いで2人の男が逮捕され、ベルリンではシナゴーグ(ユダヤ教会堂)に火炎瓶が投げ込まれた。フランスでは高校教師がチェチェン共和国出身の男によって刺し殺される事件も発生。犯人はアラビア語で「神は偉大なり」と叫んだ。ほかにも同様の事件が起きたフランスでは、当局がテロ警戒を最高レベルに引き上げた。

ベルギーでスウェーデン人2人が射殺された

奇襲攻撃で世界を驚かせたハマスに注目が集まっているが、テロ増加の背景としてタリバンの影響も無視できない。2021年の米軍撤退でアフガニスタンの政権にタリバンが復帰したことで、世界中の過激派が大胆になったとアナリストらは指摘する。

タリバン支配下でアフガニスタンは再び「テロの温床」となった。「タリバンの復権が、新しい世代の過激派戦闘員を訓練し教育する絶好の機会をもたらした」とイスラム学者のモハマド・モヘクは語る。教育制度を大幅に見直され、少年たちはマドラサ(イスラム神学校)で過激派のイデオロギーをたたき込まれているという。

タリバン兵

そしてイスラム主義者は、タリバン復権の延長線上に「イスラエルの破壊」を位置付けている。

米下院外交委員長のマイケル・マコールは、CNNに「タリバンがエルサレムを解放するために、彼らの言葉で言えばシオニストと戦うために、現地に行きたがっている兆候がある」と語った。既に100人以上のタリバンの狙撃兵がガザに派遣されていると、モヘクはみている。

アフガニスタンがテロの温床に

またヨーロッパでは、この1年に逮捕された多くのテロリストの共通項である「IS」に注目が集まっている。「ISは明らかに自分たちの関与を示そうとしている」と、過激派対策プロジェクトのシニアディレクター、ハンスヤコブ・シンドラーは言う。

「テロ組織は自分たちの力を見せつけなければならないという必要に駆られ、そのためにますます危険な存在になっていく」

世界で動き始めたIS

■詳しくは動画をご覧ください。

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中、関税率を115%ポイント引き下げ スイスの閣

ビジネス

資生堂、1―3月期営業損益は黒字転換 米関税影響は

ビジネス

塩野義薬、今期11%営業増益を予想 4期連続で過去

ビジネス

シャープ、26年8月までに亀山第2工場を鴻海に譲渡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 3
    「隠れ糖分」による「うつ」に要注意...男性が女性よりも気を付けなくてはならない理由とは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中