最新記事
中東

ハマスに解放されたイスラエル人高齢女性「蜘蛛の巣のような地下トンネル監禁中は手厚い対応」

2023年10月25日(水)10時52分
ロイター
ハマスが23日に解放した2人の高齢のイスラエル人女性の一人、ヨシェベド・リフシッツさん

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが23日に解放した2人の高齢のイスラエル人女性の一人、ヨシェベド・リフシッツさん(写真)が、記者団の取材に応じた。10月7日にガザに連行された際は戦闘員に暴力を振るわれたものの、その後はよくしてもらったと述べた。テルアビブの病院で24日撮影(2023年 ロイター/Janis Laizans)

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが23日に解放した2人の高齢のイスラエル人女性の一人、ヨヘベット・リフシッツさん(85)が、記者団の取材に応じた。10月7日にハマスの急襲を受け連行される際に戦闘員に暴力を振るわれたが、監禁中はよくしてもらったと語った。

リフシッツさんの夫を含むおよそ220人がまだハマスの人質になっている。

リフシッツさんは、解放後に搬送されたテルアビブの病院の外で取材に応じた。車椅子に座り、ささやき声に近いか細い声で「地獄のような日を過ごした」と話した。

リフシッツさんのキブツ(集団農場)を戦闘員が急襲した時のことは「彼らは私たちの家に押し入り、人々を殴った。年寄りから若者まで、区別なく誘拐した」と述べた。

リフシッツさんはバイクに乗せられ、ガザ近郊に連れて行かれた。

「バイクに乗せられたとき、私の足は片側に、残りの体は反対側にあった。途中で若者たちに殴られた。肋骨は折られなかったけど、痛くて息ができなかった」と語った。時計と宝石を盗まれたという。

連行された人々はガザでハマスが作った地下トンネルに連れて行かれた。地下トンネルは「蜘蛛の巣」のようだったと表現した。

リフシッツさんのキブツから連行された人は5人のグループに分けられ、グループごとに一人の警備が24時間体制でついた。医師が一日おきに訪ねてきて必要な薬を持ってきたという。

「彼らは負傷者の面倒をよくみてくれた」と語った。

23日の解放時の動画で、リフシッツさんは、覆面をした戦闘員のと握手している。なぜそのようなことをしたのかとの質問に「彼らは私たちを優しく扱い、私たちの要求を全て満たしてくれた」と答えた。

一方でリフシッツさんは、ハマスの攻撃から南部のコミュニティを守れなかったイスラエル軍を批判。軍は攻撃の脅威を真剣に受け止めていなかったと指摘した。

「私たちは自分たちで身を守るしかなかった」と述べ、武装勢力対策の安全フェンスは「全く役に立たなかった」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

BAT
「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世界の構築を共に
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円

ワールド

スウェーデンのクラーナ、米IPOで最大12億700

ワールド

西側国家のパレスチナ国家承認、「2国家解決」に道=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中