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収入格差

日本の一人親世帯の相対的貧困率は「貧困大国」アメリカよりも大きい

2023年10月11日(水)10時40分
舞田敏彦(教育社会学者)

国際的に見ても、日本は一人親世帯に貧困が集中する度合いが高い国だ。2020年の子どもの相対的貧困率(年収が中央値の半分に満たない世帯で暮らす子の割合)をみると、全世帯では13.1%だが、一人親世帯に限ると43.3%にもなる。その差は35.2ポイント。<表1>は、この差分が大きい順に43の国を並べ、上位10位と下位10位を抽出したものだ。

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日本は、全世帯と一人親世帯の差分が韓国に次いで大きい。一人親世帯の貧困率は、貧困大国と言われるアメリカよりも高くなっている。

日本では、両親がいる世帯を前提として育児の諸制度が成り立っているため、一人親世帯は困難な状況に陥りやすい。預け先の不足により、幼い子がいるシングルマザーがフルタイム就業をするのは難しい。さらに大きいのは養育費の不払いだ。国が立て替え、不払いの親から税金と一緒に強制聴取する仕組みを導入するべきだろう。

時代とともに結婚・出産の階層的閉鎖性が強まり、かつ子育て世帯のなかでの格差も大きくなりつつある。育児や教育の費用負担を、個々の家庭(私)に委ねるやり方の限界に他ならない。

<資料:総務省『就業構造基本調査』(2022年)
    OECD「Family Database」

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