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デモ参加者を「害虫」扱い...なぜフランスの警官は、ほかの欧州諸国に比べて乱暴で高圧的なのか?

Why France Is Burning

2023年7月11日(火)16時30分
ミシェル・バルベロ(ジャーナリスト)

しかもロイター通信の集計によると、警官による銃器使用の権限が拡大されて以降、交通検問中に殺害された人の大半は黒人かアラブ系だ。

そこまでの悲劇には至らなくても、マイノリティーに属する人たちと警官の関係は理想から程遠い状態にある。アメリカの場合と同様、フランスでも有色人種の若者が警官に身分証を確認されたり、その際に身体検査を強要されたり、侮辱や乱暴を受けたりする確率は、同世代の白人よりもはるかに高いとされる。

人種差別に目をつぶる

憲法で「全ての市民は平等」と定める以上、フランスに人種や性別による差別は存在しない。それが政府の建前だから、人種別の統計を取ることさえ忌避される。当然、警察内部に組織的な人種差別が存在する可能性も認めたがらない。現にジェラルド・ダルマナン内相は、組織内に「腐ったリンゴ」は存在するが、「フランスの平均的な警官は人種差別主義者ではなく」、警察は「フランス共和国における統合」の最高の象徴だと繰り返し発言している。

民族や宗教、文化に基づく帰属意識は強いものだが、フランス人はあえて、その現実に目をつぶる。それが「真実に触れることを困難にしている」と指摘するのは、パリ社会科学高等研究院のミシェル・ビビオルカ教授だ。

ナンテールの事件でも、フランスのテレビ局は「運転者が白人であれば事件の結末は違っていたのではないか」という当然の疑問に触れたがらなかった。しかし、「バンリューの怒れる若者たちは、不平等や差別、人種的偏見をすごくリアルに感じている」と、ビビオルカは言う。

問題は、警官による不当な扱いだけではない。バンリューの住民は一般市民に比べて進学や就職でも苦労している。政治家たちも貧困地区を「政治の空白地帯」と見なし、ほとんど関心を向けない。

こんな状況だから暴動は何度でも繰り返される。そして、その激しさは増す一方だ。

今回はわずか数日で5000台の車両が燃やされ、1000棟の建物が損壊され、250カ所で警察の施設が襲撃され、700人以上の警察官が負傷した。この数字は、3週間も続いた05年の暴動時を上回る。

それでも週末までに、どうにか騒ぎは収まった。翌週にはマクロンがパリのエリゼ宮殿で、暴動のあった200以上の自治体の代表と会って今後の対策を協議した。それで何かが、本当に変わるとは誰も期待していない。ただ暴動疲れで、みんなおとなしくなった──。少なくとも今は。

From Foreign Policy Magazine

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