最新記事
プリゴジンの乱

プリゴジンはベラルーシからキーウを攻める計画? ウクライナは国境を警戒せよ

Mutinous Prigozhin Faces Exile in Belarus but Putin's Grip Slips

2023年6月26日(月)17時16分
アレックス・フィリップス

ワグネルが制圧したロシア軍の南部軍管区司令部をあっさり返還して去るプリゴジン。その後居場所は確認されていない。(6月24日、ロストフナドヌ) Alexander Ermochenko-REUTERS

<「プリゴジンの乱」は24時間で終わったように見えるが、プリゴジンにはまだ先の計画がある?>

【動画】ウクライナ兵とロシア兵の接近戦を捉えた11分間のビデオ

ロシア国防省との確執から6月24日に武装反乱を起こし、傭兵部隊を首都モスクワに向けて北上させた民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンは、モスクワへの進軍を途中で止めた。彼はベラルーシで亡命生活を送ることになるのだろうか。いずれにしろ今回の反乱は、ウラジーミル・プーチン大統領の権威を揺るがした、と専門家は指摘している。

ワグネルの部隊は、反乱開始から数時間のうちにロシアのロストフ州の州都ロストフナドヌーのロシア軍の南部軍管区司令部を制圧し、その後モスクワに向かって進軍した。ロシア軍は慌てて防衛に就いた。

その後、ベラルーシ(ウクライナ戦争におけるプーチンの数少ない同盟国)のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介に入った。プリゴジンは今回の反乱について刑事責任を問われない代わりに、ロシアを離れること、配下の傭兵部隊にウクライナの拠点に戻るよう命じることに同意した。

「ロシア軍の側の同胞の血を流した責任を理解し、部隊を計画に従って撤退させ、野営地に戻す」と、プリゴジンはテレグラムのアカウントに投稿したボイスメモで述べた。

今のところ事態は収束したように見えるが、プーチンがウクライナにおける軍事的失敗について直接的に異議を申し立てられたのはこれが初めてだ。しかも声を上げたのは、この戦争においてロシア側で最も戦績を上げてきたワグネルだ。

ワグネルに道を開けたロシア軍

プリゴジンの傭兵部隊は、ロシア側が大きな成果を上げた数少ない場所のひとつであるバフムトの制圧に大きく貢献した。ブリゴジンはここ数カ月、ロシア軍上層部に対して批判を強めてきた。

ロシア軍は否定しているが、ロシア軍がワグネルの野営地に砲撃を加えたとブリゴジンは告発。これがブリゴジンにとって最後の一撃となり、ロシア軍上層部を糾弾する「正義の行進」を始めるきっかけとなった。

だがモスクワに向かって進軍を開始した傭兵部隊に対して現地のロシア軍部隊は同情的で、ほとんど抵抗にあわなかったと言う報告もある。それはロシア政府の作戦決定に対する不安が高まっていることを示唆している。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ユナイテッド航空 、秋まで運航便5%削減 中東情

ワールド

米政府、輸送中のイラン産原油売却を容認 30日間の

ワールド

米、イラン戦争の目標達成に近づく=トランプ氏

ワールド

イラク、外国企業運営の油田で不可抗力宣言 ホルムズ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「嘘でしょ!」空港で「まさかの持ち物」を武器と勘…
  • 9
    将来のアルツハイマー病を予言する「4種の先行疾患」…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中