最新記事

反転攻勢

反攻ウクライナ「夏の終わりまでにクリミア奪還も可能」──米軍元司令官

Ukraine Could Free Crimea by End of Summer: Ex-U.S. General

2023年6月22日(木)17時42分
デービッド・ブレナン

韓国から日本海に向けて発射された米軍のATACMS(2017年) 8th United States Army/ REUTERS

<クリミアを奪還して軍港セバストポリに長距離兵器ATACMSを配備すれば、ロシアの黒海艦隊は黒海を出ていき2度と戻ってこれなくなると、米軍元司令官は言う>

ウクライナ軍は、西側の十分な軍事支援さえあれば、夏の終わりまでにはロシアの前線を突破してクリミア半島に到達する可能性がある――米軍の元欧州軍司令官ベン・ホッジスは本誌にこう見通しを示した。

6月前半にウクライナの南部と東部で始まった反転攻勢については、進展が遅く、ウクライナ側に多大な犠牲が出ていることが懸念されている。ホッジスは、ジョー・バイデン米政権に対し、「MGM140米陸軍戦術ミサイルシステム(一般にATACMSとして知られる)」のような長距離兵器を供与して、ウクライナの勝利を確実にするために尽力する姿勢を示すよう呼びかけた。バイデン政権はこれまで、ロシアによる報復を誘発するおそれがあるとして、これらの兵器を供与しない方針を貫いてきた。

ホッジスはインタビューの中で、ウクライナ軍による反転攻勢の進捗と今後の見通しについて、「アメリカが必要な支援を提供すれば、ウクライナが夏の終わりまでにクリミアを奪還できる可能性はあるという考えは変わらない」と述べた。

反転攻勢はうまくいく

ウクライナ政府は、6月に入って反転攻勢を開始して以降、複数の方面で重要な進展を達成したと報告している。最も激しい戦闘が展開されているのは東部ドネツク州の激戦地バフムト周辺と、南部ザポリージャ州の前線だ。ほかにも、ウクライナとロシアの約1280キロメートルに及ぶ「国境」沿いでいくつも戦闘が続いており、北東部ルハンスク州ではロシア軍が攻勢に出ていると報じられている。

ウクライナの当局者らは、敵や敵の武器の位置を知る威力偵察を目的とした初期の攻撃は困難を伴ったが成果もあり、ウクライナ軍はロシア軍が長期にわたって備えを進めてきた防衛線に食い込んでいると主張。一方でロシア政府は、ウクライナ軍による反転攻勢を撃退し、ウクライナ軍の兵士と設備に多大な損失をもたらしていると主張し続けている。

ホッジスは、ウクライナの反転攻勢の成功や失敗について評価を下すのはまだ早いと述べ、ウクライナ軍の今後の見通しについて楽観的な見方を変えていないと強調した。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

来日のNZ首相、経由地で専用機故障 民間機で移動

ワールド

原油先物は小幅安、米消費者需要の後退や中国指標待ち

ワールド

トランプ氏が減税拡大表明、移民流入に警告も 78歳

ビジネス

韓国現代自動車、インド子会社が上場申請 同国最大の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 3

    顔も服も「若かりし頃のマドンナ」そのもの...マドンナの娘ローデス・レオン、驚きのボディコン姿

  • 4

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開する…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    水上スキーに巨大サメが繰り返し「体当たり」の恐怖…

  • 7

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 8

    なぜ日本語は漢字を捨てなかったのか?...『万葉集』…

  • 9

    サメに脚をかまれた16歳少年の痛々しい傷跡...素手で…

  • 10

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 7

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中