最新記事
ウクライナ情勢

習近平、ウクライナ・ゼレンスキーと電話会談「可能な限り早急な停戦に努力」 解決へ代表派遣を表明

2023年4月27日(木)10時10分
ロイター
中国の習近平国家主席

中国の習近平国家主席は26日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行った。3月撮影(2023年 ロイター/Sputnik/Vladimir Astapkovich/Kremlin via REUTERS)

中国の習近平国家主席は26日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行った。国営メディアによると、習主席は、ウクライナに特別代表を派遣し、全ての当事者と協議し危機の解決を目指す方針を示した。ロシアの侵攻開始後で初の会談となる。

中国国営放送CCTVによると、習主席は、中国が和平交渉の推進に注力し、可能な限り早急な停戦に向け努力すると言明。さらに「国連安全保障理事会の常任理事国として、さらに責任ある主要国として、傍観することも火に油を注ぐことも、ましてや利益を追求することもない」と語った。

ゼレンスキー大統領も、習主席と1時間にわたる電話会談で「習近平国家主席と長く有意義な電話会談を行った」と確認。「この電話会談、特別代表の任命が、二国間関係の発展に強力な弾みになると信じている」とした。

さらに「ウクライナにとり公正かつ持続可能な平和の達成に向けた協力の可能性」の方法を巡り協議したと明らかにした上で、「領土の妥協や犠牲の上に平和はあり得ない」と言明。「ウクライナの領土保全は1991年の国境に基づき回復されなければならない」と述べた。

中国外務省当局者は、習主席がゼレンスキー大統領と電話会談したことは、国際問題に対する中国の客観的で公平な立場と、大国としての責任感を示すとし「中国がウクライナ危機解決のために行ったことは公明正大だ」と述べた。

ゼレンスキー氏は定例ビデオ演説で「中国の政治力を使い、平和を築くための原則と規則を強化する機会がある」とし、「ウクライナと中国は世界の絶対多数と同様、国家主権と領土保全に関心がある」と述べた。

また、5月18日に期限を迎える黒海経由の穀物輸出合意の延長を巡り、習氏が「支持する言葉」を述べたと明らかにした。

習氏とゼレンスキー氏の電話脳会談について、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は歓迎するとしつつも、和平交渉につながるかどうかを判断するには時期尚早と指摘。今回の電話会談が「何らかの意味のある和平に向けた動き、計画、提案につながるかどうか、今はまだ分からない」とした。

また「交渉による和平があるとすれば、ゼレンスキー大統領の準備が整った時でなければならない」とし、米国は「和平が持続可能で信頼できるものである限り、公正な和平に至るあらゆる取り組み」を歓迎するとした。

ロシア外務省のザハロワ報道官は「交渉プロセス確立に取り組む用意が中国側にあることに留意する」とコメントした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国地裁、保守系候補一本化に向けた党大会の開催認め

ビジネス

米労働市場は安定、最大雇用に近い=クーグラーFRB

ワールド

パナHDが今期中に1万人削減、純利益15%減 米関

ビジネス

対米貿易合意「良いニュース」、輸出関税はなお高い=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中