最新記事
ウクライナ情勢

ロシア、2カ月ぶりの大規模ミサイル攻撃 ウクライナ側25人死亡「反転攻勢の準備整う」

2023年4月29日(土)16時10分
ロイター
ロシアの攻撃を受けて損傷したとみられる建物

4月28日未明、ロシア軍は、ウクライナの首都キーウ(キエフ)をはじめ中部と南部で攻撃を行い、現地当局者や報道などによると少なくとも5人が死亡した。写真はチェルカシュ州ウマニで攻撃を受けて損傷したとみられる建物。ウクライナ内務省提供(2023年 ロイター)

ロシア軍は28日未明からウクライナの首都キーウ(キエフ)をはじめ中部と南部でミサイル攻撃を行い、少なくとも25人が死亡した。

この日の攻撃はここ約2カ月で最大規模。東部、南部、および中部の一部で空襲警報が発令され、当局は警告を無視しないよう住民に呼びかけた。その後、夜遅くに警報は解除された。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「このロシアのテロは、ウクライナと世界から相応の対応を受けなければならない。そうなるだろう」と対話アプリのテレグラムに投稿。その後「ウクライナに供与される兵器、テロ国家に対する最も厳しい制裁、ロシアの殺人者に対する公正な判決でのみ、ロシアのテロを打ち負かすことができる」とツイッターに投稿した。

ロシアによる攻撃を受ける中、ウクライナは大規模な反転攻勢の準備がほぼ整ったと表明。レズニコフ国防相はオンライン形式で実施した記者会見で「鉄の拳」を持って攻勢をかけるための新たな近代的な兵器を確保しているとし、「神の意志、天候、指揮官の決定があれば、すぐに実行に移す」と述べた。

ロシア軍の攻撃を受けた中部の町ウマニでは集合住宅にミサイルが着弾して炎上。地元首長によると子ども4人を含む少なくとも23人が死亡した。

南東部のドニプロでもミサイルが住宅を直撃し、2歳の子どもと31歳の女性が死亡し、3人が負傷した。

キーウでも爆発があり、空襲警報が鳴り響いた。当局によると、防空部隊がミサイル11発とドローン(小型無人機)2機を撃墜した。

キーウ州のウクラインカでは2人が負傷した。

地元メディアによると、中部のドニプロ、クレメンチュク、ポルタワ、南部ミコライウでも真夜中過ぎに爆発があった。

ウクライナ軍は、ロシアの巡航ミサイル23発中21発を撃ち落としたとしている。

この日はまた、ロシアが2014年から実効支配している東部の前線に近いドネツクで、ウクライナ軍がミニバスを砲撃し、子どもを含む7人が死亡したとロシア側の当局者が発表した。ロイターは死傷者の数や責任の所在を独自に確認できていない。

ロシアはこの日の攻撃について、ウクライナ予備軍が配置されている場所を標的に攻撃し、攻撃が成功したため予備軍の前線へ配備を妨げたと表明した。ただ、これを裏付ける証拠は示さなかった。

ロシアは冬の間、エネルギーインフラを中心に民間施設を定期的に攻撃していた。ウクライナ電力大手のウクルエネルゴは、今回の攻撃でエネルギー関連施設に被害は出ていないとしている。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送トランプ氏、中国の関税合意違反を非難 厳しい措

ビジネス

FRB金利据え置き継続の公算、PCEが消費の慎重姿

ワールド

米、対ロ制裁法案審議へ ロシアの和平交渉遅延を非難

ワールド

トランプ氏「ガザ停戦合意に近づいている」、イラン核
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中