最新記事
ペット

犬の散歩で年収1300万円 NY富裕層からドッグ・ウォーカーへの依頼が殺到

2023年3月6日(月)18時02分
青葉やまと

ニューヨークで需要が高まる犬の散歩代行「ドッグ・ウォーカー」 Thomas Nord-shuttestock

<犬が好きの人々が引き受けていた雑用ビジネスが、パンデミックを機に急成長。人気のドッグ・ウォーカーたちは、1時間あたり1万円を超える収入を得ている>

犬の散歩はありふれた行為にも思えるが、立派な専門職として成立しているようだ。飼い主たちが忙しいときに散歩を代わる「ドッグ・ウォーカー」たちが、ニューヨークで高額の収入を得ている。

ニューヨーク・タイムズ紙は、NY中心街・マンハッタンでの犬の散歩事情を報じている。富裕層が集まるこの地区では、多忙時に頼れるドッグ・ウォーカーへの需要が殺到している。

NY市内に住む女性のベサニー・レーンさんは、人気のドッグ・ウォーカーのひとりだ。彼女がこの仕事を始めたのは11年前、苦学生時代だったという。家賃と学生ローンの支払いが迫っていたレーンさんは、個人間で依頼や売買を行う人気サイト「クレイグリスト」を訪れ、犬の散歩の依頼を見つけた。

犬好きの彼女にとって、この仕事は完璧だった。オーナーに代わって犬に幸せな時間を与えることを自らのミッションと考え、楽しみながらそれを実現したようだ。

ビジネスは軌道に乗り、2年後にはペットケア・サービス「ホイッスル&ワグ」を正式に立ち上げることになる。人気のウォーカーとなったレーンさんに、30分の散歩を35ドル(約4600円)で依頼する顧客もいるという。

必至に働いた結果、オーナーたちの信頼を獲得し、事業は人を雇うまでに大きくなった。レーンさんは具体的な年収の開示を避けたが、昨年の収入は6桁に達しているだろうと語っている。日本円で1300万円を超える。

パンデミックで需要急伸 時給換算で1万円超えの散歩も

ニューヨーク・タイムズ紙は、パンデミックがドッグ・ウォーカーへの需要の引き金になったとみる。

同紙によると、アメリカではパンデミック中に、5世帯に1世帯に相当する2300万世帯以上が新たにペットを飼い始めたとのデータがあるという。ロックダウンやリモートワークで知人や同僚と会えない代わりに、ペットとのコミュニケーションに癒やしを求める人々が相次いだ。

ところが現在ではオフィスが続々と再開し、多くの人々が日中は家を離れなければならない。そこで彼らが頼るのが、ドッグ・ウォーカーたちだ。マンハッタンでは需要が殺到し、初心者のドッグ・ウォーカーでも30分で14ドル(1800円)ほどを稼いでいる。

人気のウォーカーになると、複数の犬をケアするグループウォークなどとうまく組み合わせ、その3倍を稼ぐようだ。時給換算で1万円を超える。散歩だけでなく、訓練やドッグスパなど、新たなサービスも開発されている。

レーンさんはニューヨーク・タイムズ紙に対し、人々がオフィスに戻るにしたがって、対応しきれないほどの依頼が寄せられていると語っている。犬が好きでこの仕事を始めた彼女にとって、ここまでの成功は予想外だったようだ。

「もしも若い頃の自分に、犬の相手をして暮らせるようになるんだと言っても、たぶん信じなかったでしょう」と語る。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に

ワールド

トランプ氏、ウクライナ大統領と会談 トマホーク供与

ビジネス

NY外為市場=ドル、週間で対円・スイスフランで下落
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 9
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中