最新記事

日本社会

食事をしない若者が増えている、その深刻な背景

2023年2月15日(水)10時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

1日ゼロ食はさすがにレアケースだが、1日2食ないしは1食となると、パーセンテージはぐっと上がる。朝・昼・夕に分けて年齢層別の欠食率を出し、線でつないだグラフにすると<図1>のようになる。

data230215-chart02.png

2021年の折れ線(緑色)を見ると、25~34歳の4割が朝食を食べていない。夜更かしをして起きる時間が遅くなるなど、生活習慣が乱れがちなためだろう。3本の折れ線の高さに注目すると、この10年間で昼食を食べない人が増えているのが分かる。2021年では、45歳未満の3割ほどが昼食を抜いている。

在宅勤務が多くなっているためかもしれないが、節約のために昼食を抜いて1日2食にする人が増えていることも考えられる。節約で多くの人が真っ先に切り詰めるのは「食」だ。

コロナ禍や物価高の影響で、生きるための根幹の「食」を疎かにする(せざるを得ない)人が増えている。これは貧困化の問題で、政策による解決が望まれる。「食」は健康に生きるために欠かせないもので、この部分を公的に保障しないと、健康不良による医療費の増加や困窮型の犯罪の増加となって社会に跳ね返ってくる。

食料品(奢侈品は除く)については、消費税を無くすべきではないのか。電気代やガス代に国の補助が入るようになっているが、「住」や「食」への支援強化も求められる。生活の基盤は、社会で支えられねばならない。

<資料:総務省『社会生活基本調査』

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英BP、ブラジルの大型油田発見で提携先模索へ

ビジネス

EV分野の脱中国化で欧州と南アの協力必要、BMW幹

ビジネス

日銀版需給ギャップ、4─6月期は-0.32% 21

ワールド

独ミュンヘン空港、ドローン目撃で一時閉鎖後に運航再
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 7
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 8
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 9
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中