最新記事

韓国

韓国戦車が欧州の戦場を埋め尽くす日

Tanks From South Korea

2023年2月7日(火)14時10分
ブレーク・ハージンガー(アメリカン・エンタープライズ研究所)
戦車

REUTERS/Kim Hong-Ji

<大型契約を結んだポーランドに各国が追随、武器供給をドイツに頼る時代は過ぎ去った>

ロシアの侵攻を受けているウクライナへの支援で、今もドイツは世界で4番目の貢献度を誇る。ところがオーラフ・ショルツ首相は、自国の主力戦車レオパルト2のウクライナへの供与を、ずいぶんとためらった。この一件をめぐっては、供与が決まった後も論議が続いている。

ヨーロッパの近隣諸国にとってドイツは、長いこと兵器調達の頼れるパートナーだった。だが今回の件は、周辺国の信頼を揺るがせた。ショルツが言い訳を並べて決断を先送りしたことで、ドイツ政府は優柔不断だというイメージが生まれ、近隣諸国は兵器の調達先として他の選択肢を探し始めている。

特に大きな懸念を抱いているのが、ロシアの脅威にさらされている国々だ。ここ数週間のドイツの弱腰を目の当たりにして、地上軍の主力装備をドイツに頼るのは賢明なのかという疑問が浮上している。

そうはいっても、いまヨーロッパに戦車の魅力的な供給元がないことも間違いない。フランスとドイツがそれぞれの主力戦車「レクレール」と「レオパルト」の後継戦車「MGCS」を共同開発する計画だが、これも官僚主義に足を引っ張られて先行きは分からない。

そんな悩めるヨーロッパの前に現れたのが、韓国だ。

ポーランドは昨年、韓国の現代ロテムおよびハンファディフェンスと大規模な兵器調達契約を結んだ。K2戦車1000両とK9自走砲672門などを調達するという。戦車の最初の180台は韓国で生産され、残り820台は2026年以降にポーランドで造られる(ポーランドの「PL」を付けて「K2PL」戦車と呼ばれることになる)。

現地生産を売りものに

ポーランドにしてみれば、韓国と契約すればドイツに頼るよりもはるかに安く迅速に兵器の供給を受けられる。しかも、技術移転を受けることで自国の防衛産業を強化したいという狙いにも合致する。

韓国にとっても技術移転はなじみが深い。1995年、韓国はそれまで実質的にアメリカ頼みだった戦車の開発を、国内企業を中心に進めることを決め、新型K2戦車の開発に着手。07年に試作車が公開され、厳しいテストや審査を経て14年に韓国軍への引き渡しが始まった。

K2には、レオパルト2の粗削りな模造品だという否定的な声もある。それでも世界クラスの主力戦車であることには変わりがなく、性能ではヨーロッパ製の優れた戦車に引けを取らない。レオパルト2と競わせたテストでも優れた成績を残している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アマゾン、デルタ航空と機内Wi─Fi契約 スターリ

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、一時1800円高に上げ拡

ビジネス

大企業製造業DI4期連続の改善、非製造業横ばい 先

ワールド

トランプ氏、対イラン作戦2─3週間内に終結も 「合
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 7
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 8
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中